アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
タイヤキ
-
家の門を開けようとした時だった。
「結城!!」
長峰くんが、ダッシュして来た。
「えっ?」
「コレ、食おうぜ。」
同級生の手にあったのは、タイヤキの袋。
「あ…。」
一瞬で、昔に引き戻された。
―何年も前。
ぼくは、自分がどうしても秋祭りに交じれない事に気が付いて、困惑した。
体重が軽い内は、屋台に乗せて貰って、中の太鼓を打つ打ち子をやってごまかした。
だけど、皆と担ぐのだけは、どうしても、ダメだった。
逞しい人々の間に挟まれると、途端に目眩がして、力が抜けてしまう。
部活で痛めた腰が痛いから…
とか何とか、毎年適当な言い訳をしたけど。
自分自身は、ごまかせない。
一体いつから、ぼくはこんな腰抜けになってしまったんだろう?
泣きながら神社の階段に座って、ヤケクソ気味にかじったのが、このタイヤキだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 48