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ホンキ
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「結城っ!!」
発進する直前。
大声をあげて、車の前に飛び出してきたのは、長峰くんだった。
―どうして、ココに!?
「行くなっ!!」
真っ直ぐにコッチを見て言った。
その目は、ぼくだけを見てる。
見つめ合ったまま、時も止まったように感じていた。
「おう。どんにするんじゃ?」
隣から聴こえた声に、ハッとした。
「すみません。行って下さい。」
「かまんのんか?」
「ええ。」
ぼくは、ハッキリ頷いた。
なのに、車は進まない。
それどころか、運転手はキーを抜いてしまった。
「兄ちゃんはそない言うけんどなぁ。ありゃホンキやさ。轢かれてでも止めよて、気合いのダッシュやった。行ってもええが、せめて、もう少ぅし、話してからにしぃないよ。」
「ぼくは話すことなんて、何も無い。」
「そやけどな。どんにしたんかは知らんが。せっかく間に合うたんやで。無下にしたらだちかん。さぁ、出た、出た。」
太い腕に押し出されるように、外に出たぼくは、すぐに長峰くんに確保された。
「何ぞ困ったら、いつでも言うておいで。そしゃな。」
愛想よく言ったその人は、メモを1枚ボクに手渡すと、車を発進させ、アッと言う間に、見えなくなった。
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