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種明かし2
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「あー、疲れたなぁ…ちょっと休憩しよか?」
―えっ?
休憩って…?
まだ少ししか、歩いて無いのに。
それに、長峰くんが一緒とはいえ、先に行ったお子さん達のことが、心配じゃないのかな?
「どっこせ、と。」
崎谷さんの方こそ、お腹でも痛いんだろうか?
ドッカリ腰を下ろしてしまった人の顔を、ぼくはマジマジと見つめた。
「そないにジッと見るなよ。照れるやないか。」
ニッと笑う顔は、一見屈託が無さげだけど。
とても何かを言いたそうな、そんな目をしてた。
「崎谷さ…」
「実は俺なぁ、この10年ずっと後悔しとることがあってな…それを今日は、寿哉には話しとこうか、って思ったんや。そんで、誠らにはちょっと先、行ってもろた。」
お子さんたち抜きで、崎谷さんが、ぼくに話さなきゃいけないこと?
ぁ。
それって、もしかして…
ぼくは息を詰めて身構えた。
「あん時は、ホンマにすまんかった!」
いきなりガバッと下がった大きな頭に、ぼくの口がポカンと開いたままになった。
―あの時って…
ワイワイとサッカー部が下校する情景がまざまざと、思い浮かんだ。
ちょうど委員会が終わったぼくも、彼らのすぐ後ろを歩いていた。
―少しでも、あの人が見えたら嬉しいなって、そんなことを思っていた。
そして、聴こえてしまったんだ。
「だいたい恋なんてさ、ほとんどが勝手な勘違いだろ。そんなのにイチイチ付き合ってられないよ。」
それが誰の声か、なんて見なくてもぼくには判った。
―勝手な勘違い。
水沢さんからすれば、そうだったのか…。
それこそ勝手に勘違いしたぼくは、その日から、誰の話も聞かず、徹底的に水沢さんを避けた。
「水沢にあんなこと言わせたキッカケは、俺の質問やったんや。そのことでずっと、このへんが、モヤモヤしたまんまでなぁ…」
崎谷さんは、自分の胸を指差した。
「あの場に俺が居らなんだら、お前ら今頃揃って笑ってたんと違うかって、思うたらなぁ、なんや申し訳無うて、切のうて。そんでも、俺には、どないしようもない。…おまえらの寂しそうな顔や、諦めたみたいな顔を見るたんびに、なんも出来ん自分を思い知らされるみたいでなぁ…。」
―ぼくだけじゃ、無かった。
ツラいのは、傍に居た人も、同じだったんだ。
目が覚めるような、思いだった。
「崎谷さんは悪くない。アレは、全部ぼくのせいなんです。」
ぼくはキッパリ言い切った。
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