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感傷
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「明日は、運動会日和だってさ。」
長峰くんの何気ない一言で、思い出してしまった。
いつかの敵前逃亡。
―組体操。
『もっと緊張感を持て!』
『お前のせいで怪我人が出たら、一体どうするつもりだ!?』
『ふざけるな!!他の全員が出来ることをなんでお前が出来ないか。それはな、我慢が足りないからだ!!』
どういう訳か
ぼくは他人が体に触れるたび、フッと力が抜けてしまう。
それは、ほとんど無意識で。
どれだけ真剣に取り組んでも防げない、条件反射みたいなものだった。
気を張っている時なら、まだいい。
だけど、思いがけない所に、いきなり触れられたら…。
実際、何度かぼくの上に乗った子が落ちかけた。
その度、血相を変えた大人が駆け付けて、体は無事だったけど。
ぼくの心は、ズタズタだった。
どんなに特訓しても
何度ガミガミ言われても
本当に、どうにもならなくて。
それに、あまりにもその先生が同じことを怒鳴るもんだから、皆も厭きてしまってて。
漂う白けた雰囲気に、焦った先生がまた怒鳴る、という良くないスパイラルが生まれていた。
―もう、だめだ。
追い詰められたぼくは、必死だった。
逃げ出した先は、学校という枠の外。
病院の中へと、ぼくは飛び込んだ。
それが米田医院。
2つ上の先輩の家だった。
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