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面影
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幸二が来た日のことを信吉はよく覚えている。
真っ白なカッターシャツに、黒い学生ズボン。
穏やかな面持ちで現れた、スラリと背の高い青年。
異母兄弟と言われても、全く嫌な気なんかしなかった。
むしろ、慕わしい気持ちしか、持てなかった。
デタラメな父親より、ずっと大人で常識的で、頼りになる。
ある日、信吉がそうほめると
幸二は真顔で、ソレは違うよと否定した。
「僕なんか、全然ダメだ。信吉くんは、絶対にこうなっちゃいけないよ。」
「親父がダメダメで。幸兄も全然ダメ。だったら、俺はどけんになればよかと?」
信吉がいうと、幸二は悲しげに笑った。
「悪いお見本でゴメン。でも、僕らをよく見て、違う方を選ぶといい。」
反面教師
なんて言葉をきいたのは、その時が初めてだったが
孫が出来た今でも、飲み込め
ない言葉の1つだ。
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