アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
明けの刻
-
先ほどの会話を聞いて、ところどころ不可解に思った人も多いだろう
んー…結論からはっきりと言った方が分かりやすいな
さっきの話(主に後半)は『朝の香り』のこと
物心つくころから、ずっと…
今も変わらない、大好きなものだ
遠く空の向こうに、光が生まれてくる曖昧な境界
時刻にして午前4時から5時程度
深い水色の、清らかな空気が町を包むころ…
俺は、2階のベランダの手すりに両腕を乗せ、顔を埋めて目を閉じる
(……。)
柔らかな小風が、寝起きで火照った身体を洗い流すように冷やし込む
…これだけでも十分すぎるほどの幸福の中、俺はゆっくりと息を吸う
「爽やか」「浄化を彷彿させる」「穢れのない」「綺麗な」「植物が蘇生するような」etc…
どんな風に表現しても足りないくらい「純粋」な香りが全身を澄み渡り…
…俺は『夢』を見る…
無限に広がる水の中で、たった1人
さらさらと、ひんやり心地良い…
(ずっと…このまま、いたい…)
叶うなら…
もしも、時刻を止められるなら…
本当に、今までずっとそう思ってた
『あいつ』が現れるまでは…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 226