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2人の時刻 (side 歩人)
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*・*・*
(……どうしよ…)
何でここに?とか
どうして緒方が?とか
最初はそのことばっかりで頭がぐるぐるしっぱなしだったけど
本棚の横側に隠れてしばらく立ち尽くしていると、だいぶ頭の中が冷静になってきた
緒方は…まだ俺がここにいることは気付いてない。ベッドホンのせいだろうか…
(……。)
『一回ちゃんと話してみることだな…』
(話すって何をだよ…)
”…ー♪ ー♪…”
…この薄暗くて、2人しかいない部屋で
今こんなに、すぐ近くに緒方がいる
何だか、そこに熱のようなものを感じてしまって落ち着かない
さっきから胸の奥がきゅうっとして苦しい…
(……。)
そりゃ…
話してみたいし、仲良くもなりたい
けど、緒方が俺をどんな風に見てきたのか…
それ思い出すだけで、こんなにドキドキしてしまうのに
ちゃんと平静を保って話せる自信がなかった…
(…もうほんと、どうしよ…)
──ギシシッ…!
(あ、やっべ…)
そう思ったときには、もう遅かった…
うっかりその本棚の横側にぼすっと身体を預けてしまい、けっこう大きな軋む音が…
…緒方の方に耳を澄ませると、カチャリとヘッドホンを外すような音…
「あの…?」
「……。」
…静かにゆっくりと息を吸い、ふーっとまた息を吐いた
(……腹括るか…)
左手をポッケにつっこみ、右手でカバンの持ち手をぎゅっと握る
コツ、コツと本棚の通路に入り、緒方の前に姿を現した
「…!?」
「……。」
ずっと止まったままだった
2人の時刻が、動き出した
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