アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君の背中に
-
「…嫌じゃ、なかったの?」
「…もう言わない」
「……。」
「…帰る」
「…ちょっ、緒方?」
そのまま渡り廊下への扉をガコンと開いて、すたすた歩いて行ってしまう
(……。)
まあ、当然俺も追いかける。早歩きで
「……。」
「……。」
…追いついて、緒方と数歩ほど間隔を空けて、2人で歩く
「「……。」」
…緒方が次の扉の前に立ち、開けようとする
俺もすぐ後ろに立って待つ。すると目が合う
「…ん?…」
「……っ!!」
微笑みながら見つめて数秒、緒方はきゅうと目を閉じて、扉を開けるとたーっと走り出してしまった
(…何で逃げるかなぁ?…)
扉をきちんと閉めて、俺も走り出す
…逃げられてるのに、こんなにもくすぐったくて穏やかな気持ちになってる俺は相当ヘンだと思う
「おーがーたっ…」
「……。」
…本気で走んなくてもまたすぐ追いついた。本気で走ったことなんて、今まで数えるくらいしかないけど
軽い足取りで、さっきと同じように数歩ほど間を空けたまま走る
(……。)
なんか、この間隔、すごく好き
小さくて可愛い背中が、ゆらゆら
手を伸ばせばすぐ届きそうな、この感じ
(……。)
…逃げられてもいいかなって
またこうやって追いかければ
緒方が俺に、近づきたいなって、そう思ったとき、すぐそばにいればいいんだから
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
84 / 226