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火灯し頃
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*・*・*
「…──けっこういいとこだね、この辺」
「うん、車もそんな通らなくて。おれも好き」
緒方の住んでいるところは、いわゆる住宅街のようなところだった
今時の新築って感じの家がズラリと並び、植え込みやベンチ、ランプなんかも小洒落ていて
(空気も、綺麗だな…)
夜の庭園でも歩いてる気分。ちょっとロマンチックだとか、そんなことまで思ってしまう
…緒方も隣にいるし、うん
「もーちょっ…とで見えそう、かも…」
「おー」
うーん、とか言って一生懸命前を見てる。可愛い
…なんて、ぼんやり眺めていた時だった
「あ、この家…」
「え、え?」
緒方が、急に隣の家の方へ視線を移した
ついさっき”もうちょっとで見えそう”って言ってたから混乱してしまう
…けど、表札が『松野(まつの)』
つまり緒方の家じゃない
「んーと、おれの家じゃなくて…」
「……。」
…なんとなく、その続きは予想していた
だから俺は、緒方が答えるのを待つことにした
「奏(そう)ちゃんの…家なんだ。ここ…」
「…へぇ」
(……。)
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