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きゅうじゅうろく。
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「嫌だ!!聞かない!!…聞きたくない!!」
ミカがばっと顔を上げて俺の目を見つめてくる。
その瞳はうるうるしていて、目尻には今にも溢れそうなくらい涙が溜まっていた。
「ミカ、泣いたら怒る。」
そう言うとぐっと下唇を噛みしめた。
そう。この顔。何にも昔と変わらない。
ミカの頭に手を乗せて、ぐしゃと撫でる。
「俺さ、ミカのそういう我慢強いところ好きだよ。」
俺の手の下から茶色い大きな瞳が見上げてくる。
その真っ直ぐな目とか、素直なところとか好き。
「可愛い弟だって、思ってる。多分それ以上には見れない…かな。ごめ…。」
「謝らないで。」
「ごめん」と言いかけ、ミカに遮られる。
凛とした声。
さっき泣いていたのが嘘みたいな力強い瞳。
「だから俺さっきごめんって言ったじゃん。困らせてごめん、て。」
おどけた調子でへにゃんと笑って言う。
「だけどさ、ゲン兄のこと好きでいるのは許してくれる?」
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