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12日目
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ま、とはいえね。僕の日課、仕事終わりのカフェタイムをやめることは出来ないわけで。ここのお店は光村くんが働きはじめるまえから僕がずっと通ってたんだから、僕がここに来なくなる理由にはならないよね?
…べつに、彼を待ってるとかそういうのじゃないよ。そういうのじゃない。僕の日課なだけ。
そう言い聞かせてる時点で僕の負け、だよなぁ。
はあ、とため息をついてドアをあけると「いらっしゃいませー!」という声がした。最近すっかり聞き慣れてしまった、少し高めの声。思わず目を見開いてしまった。なんて馬鹿、僕がビックリしてることに気づいてるのか気づいてないのか、光村くんはとてとてと少し早足でこちらに向かって歩いてきた。
「今日のケーキはイチゴのタルトですよ!」
「う、ん。え?ああ、うん、そうなの」
…ん?
あの二日間はなんだったの?ってぐらい、なんでもないような顔で話しかけてくる彼に困惑が隠せない。いや、ほんと、吹っ切れました!って顔しちゃってさ。若いってすごいなぁ、うん、ほんと凄いよ。
ネガティブな僕とは大違いだ。なんかちょっとムカついてくるほど、いつも通りな光村くん。…どういうことなの。
光村くんの良くわからない行動に疑問符が止まらない。そんな思考をぶら下げたまま席につくと、本日のケーキとやらとコーヒーを持ってくる、いつも通りの光景が目にはいる。
「はい、どうぞ。」
にこ、なんて。だからそんな眩しい笑顔を向けられても。「どうも」といつもよりそっけなく答えてしまう僕は、光村くんの両耳に、ピアスがきらきら光っていることに気づいてしまった。
…なんで?避けてたよね?
嫌だったんだよね?僕のことが、僕の言葉が、だから避けてたんだよね?なのにこのケーキ献上はなに?もうわけがわかんなくて頭がいたい。なんなの?嫌われてないの?なんなの?
「それ、やっぱ似合ってんね」
下心あるみたい?これぐらいは大丈夫?
僕ちょっと人との接し方、わかんない人かも。
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