アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
florists' daisy 1-1
-
…思うに、昔からツイていなかったように思う。
神社のおみくじで一人だけ大凶を引き当てるのはお約束。商店街のくじ引きではティッシュ以外もらったことはないし、買ったばかりで新しいコートを着た日にハトにフンを落とされたり、学校では提出したテストを先生に紛失されたこともある。
だけどそんなものは序の口だったのは、今になればわかる。
彼は、つくづくな己の不運っぷりを呪っていた。
彼は|秋月琉生《あきづきるい》。先月誕生日を迎えたばかりで、16歳。
本来なら高校に通っている年齢だ。
母親似の中性的な容姿に、その容姿でも女とは間違われないほどには高い身長、成績優秀、スポーツもそこそこ。性格も穏やかで、よく気のつく「いい人」…。…本来、学校に通っていたら、異性にキャーキャー言われていてもおかしくない、そんな少年だ。
そう、本来ならば。
…『本来ならば』…、それが、彼の不運の致すところの結果だった。
受験勉強はしっかりした。目標の高校を受験しても、まず落ちることはないだろうという自信もつけていた。
…なのに。
自己管理にも気をつけていたし、もともと、そこまで病気になりやすいタイプでもなかったのに。
…なのに。
受験の前に風邪を引き、そして…
受験の日、当日は、病院のベッドの上で過ごすことになったのだ。
風邪を悪化させて、肺炎にまでなってしまった。
どうしてなのだろう、きちんと治そうと、安静にしていたつもりだったのに。きちんと暖かくして寝ていたならこうはならないであろうと、医者も首をひねるほどに、稀なケースとして、ひどく悪化させてしまったのだ。
…もうこれは、彼が己の不運を呪うことになっても、それは仕方がないことであろう。
こうして、目標の高校も、滑り止めの高校も、受験すら出来ず…
…さすがに、ここまでの不幸ならば、彼がそうなったことを責められないと思う、が。
彼は、ひきこもりになった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 6