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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …21
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車に着いて乗り込む前に、雅治さんをチラッと見る。
目が合うと「ん?」というように、雅治さんが俺を見返した。
雅治さんなら、俺の話をちゃんと聞いてくれる。
"ヨシ!"
と心の中で気合を入れて、車に乗り込んだ。
乗り込むとすぐに、雅治さんはエンジンをかけて、エアコンを付けた。
その横顔に、声をかける。
「あの…その…この格好、なんだけど…」
「うん…」
雅治さんが、ゆっくりと俺に顔を向けた。
「実は、ね。雅治さんと、外で手を繋ぎたいってずっと思ってて…。でもね、そんなこと普段出来ない、じゃん?…だから、その…この格好だったら、外でも、手、繋げるかな?と、思って…」
「え?手?」
雅治さんが、眉をピクリと上げた。
「うー…ごめん。こんな事して。でも、どうしても、イルミネーション見る時に…普通のカップルみたいに、手を繋いでみたくて。…あの、今日だけ。今日だけ、だから。…ダメかな?…ごめん。いや、無理だったら、無理でいいんだ。今から帰って着替えて来るしっ…。その、ごめんねっ?」
「そんな、理由…で?」
「う、…ん」
頷くと、雅治さんが困った顔をした。
「手、繋ぎたいなら…言ってくれれば、いつでも繋ぐのに…」
あぁ、雅治さんならそう言ってくれると思った。
だけど…
「うん。…でも、その…男同士で手とか繋いで、変に注目集めるのが嫌で…それで、この格好なら…外で手、繋げると思って…」
雅治さんは、少し考える素振りをした。
「本当に、それだけの理由?」
「あ…う…ごめん」
雅治さんは首を横に振った後、俺に片手を伸ばして…
俺の頭を抱えるように引き寄せて、抱きしめてくれた。
その行動に、胸がドキンと跳ねる。
「謝るのはこっちだろ?…なんてゆーか、こんなことするほど悩んでたって事だろ?そんなに悩んでたのに、気付けなくて…ごめん」
「え?いやっ…ホント恥ずかしいけど、手を繋ぎたかっただけのことだし…何よりこれは俺の我が儘でっ」
「いや。二人の問題だろ?」
あぁ、もう。
雅治さんってば…
「でも…相談もせず、突然こんなカッコしちゃって、驚かせたよね?ホントごめんね?あの…ダメだったら着替えてくるから。その…」
「ダメじゃない」
「えっ?」
身体を離した雅治さんは、俺の手を取った。
「ダメじゃ、ない。…あー、いや…あーー」
そう言った雅治さんは、空いた手で頭を掻きむしった。
「手、繋ぎたいとか…それだけの理由でこんな事するなんて、マジで可愛すぎる。…ってゆーか、何それ?完成度高過ぎて。なんて言うか…俺のため?」
「えっ?」
雅治さんが、俺の頭からつま先まで視線を這わせた。
「ヤバいくらいに似合ってる。あー、なんだ。つまり、ダメじゃない。こんな陸と並んで歩くとか…ダメなのは、俺の方かも…」
ダメなのは、雅治さん?
どういうこと?
「あの、ホントに?ダメじゃない?変じゃない、かな?女装って、バレバレじゃない?」
雅治さんは首を横に降る。
「戸惑うぐらいに、変じゃない。むしろ、女にしか見えない」
「う…ホントに?雅治さん、嫌じゃない?」
女にしか見えない、ってのは複雑だけど…
でも今は喜ぶべきところだよね?
「ホントに。嫌じゃないよ。…ってゆーか、ちゃんと自分の見た目、自覚してる?それ、危機感持たないと、さっきみたいに野郎に声かけられるレベルだし」
さっき??
…あ!ナンパ野郎のことか!
「あれは、ごめんなさい!あの…助けてくれてありがとう」
「いや…。マジで助けられてよかった。それより、どうやってここまで完璧に変身できたの?…てゆーか、いや。あー…待って」
「えっ?」
雅治さんが俺の頬に手を添えて、グイッと顔を近付けた。
「とりあえず、キス、していい?」
へっ?
急な展開について行けずに、雅治さんをただ見返していると…
ゆっくり顔が近づいて来て…
雅治さんの唇が、そっと、俺のと重なった。
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