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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …雅治3
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「ね?雅くん達の予定もあるだろうし、ちょっと考えてから返事くれてもいいから。ただ、出来れば返事は明日の昼までに欲しいな。キャンセルなら早めに連絡入れなきゃならないし」
「ん。…分かった」
◯◯ホテルなら、カッコ着くよな…
陸との非日常を想像して思わず口元が緩みそうになる。
それを誤魔化すために、コーヒーを口へと運んだ。
「そうそう。ちなみに、東京タワーが見える側の部屋らしいわよ!二人でライトダウン見るのとか素敵じゃない?」
姉貴がニヤニヤしながらコーヒーを口に運ぶ。
「ライトダウン?」
「あれ?知らない…か。あのね、東京タワーのライトアップが消える瞬間、つまり、ライトダウンを一緒に見たカップルは、永遠の幸せを手に入れることができるっていう話」
「…は?」
「うふふ。都市伝説なんだけどね。まぁ、雅くんはそういうの興味ないかも知れないけど、たまにはいいじゃない?そう言うのも」
何を想像しているのか、姉貴がイヤらしく笑った。
姉貴の言う通り、そんな馬鹿げた話、俺には興味ない。
だけど、陸と酒飲みながら………とか想像したら、悪くないかも、と思った。
あぁ。
姉貴の話にだいぶ気持ちが傾いてきた。
「そう、それとね、これは別件として聞いてもらいたいんだけど。ついでと言うか、何と言うか…」
姉貴がバッグから雑誌を取り出した。
「ここのホテル、式場が付いててさ。うち、結構お世話になってるんだよね」
取り出した雑誌を、俺の方にぐいと差し出す。
「ここのチャペル、すごく雰囲気が良いんだよね〜。よかったら見学とかしてみない?」
「は?」
見学?
「いやいや…何?その顔。いつか結婚するんでしょ?その時のためにってゆーか、…あぁ!そうそう!ここのチャペル、最上階にあるからめっちゃ景色良いのよ!それ見るだけでも、陸くん喜ぶんじゃないかなぁ?」
「……」
姉貴、何がしたいのか。
いつかは結婚するつもりだけど。
見学と言われてもピンとこない。
ってゆーか、そーゆーとこまで面倒見られるのウザい。
まぁ、陸を喜ばせたいらしい気持ちが伝わってきたので、キレるのはやめておく。
「うん。私、ここの責任者と仲良しだからさ…。うふふ!で、夜遅くとかでも対応してもらえるから。うん。とにかく任せて!」
それって、その責任者にかなり迷惑かける感じじゃ…
「あっ。その目は何〜?信じてないわね?」
「いや…」
そう言う事じゃないんだけど。
「とにかく、この雑誌見てみて!ホテルとかチャペルとかの事が載ってるから!ね!返さなくていいから。必ず見るのよ?」
「あ、あぁ」
いつもより必死な感じのする雰囲気に気圧されて、思わず頷く。
「よし!なんでも相談するのよ?特別な一日になるかも知れないんだからっ」
「?はぁ…」
それからすぐ「まだ仕事があるから」と、姉貴は足早に店を後にした。
「マジで嵐…」
椅子に背を預けて、温くなったコーヒーに口を付ける。
視線は自然と姉貴が置いていった雑誌に落ちた。
姉貴は一体、何を考えてんだか…
そんな事を思いながら、何気なくパラパラとページをめくる。
どうやら、結婚に関する雑誌のようだ。
ふと、角が折れているページがある事に気付いた。
姉貴が折り曲げたのか。
そのページを広げてみた。
"特集!結婚前のあれこれ"
ふむ。
"プロポーズ大作戦!"
何だそれは。
今どきの若者はこんな雑誌に指南されないとプロポーズも出来ないのか。
次のページも角が折れている。
"婚約式ってなあに?"
婚約式?
どうやら、神様の前で結婚式もとい婚約式をするといった内容だ。
姉貴はこの特集とやらを俺に読ませたいのか?
ったく、モノ好きと言うか、世話焼きと言うか…
まぁ、姉貴を世話焼きにしたのは、俺の性格のせいでもあるけど。
その世話焼きをウゼェと思いつつも、決して興味が無いわけじゃないその記事を斜め読みする。
興味があっても、自分ならこんな雑誌を買うことなんてないし、知識としてこういう内容を入れていても良いだろうと思った。
陸を喜ばせるような何かが見つかるかもしれないし。
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