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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …41
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駐車場を出て目的地に着くまで、雅治さんは珍しく機嫌が良さそうな雰囲気を全面に出していた。
いや俺、最初の方はずっと緊張…っていうか、アレとか色々気になって、雅治さんの様子まで気にする余裕はなかったから、いつからこんな上機嫌なのか分からないけど。
イルミネーション見てる時も、雅治さんテンション高めな気がしたから、今日は雅治さんなりにウキウキしてるんだろうか?
可愛いなぁ。
道すがらイルミネーションの感想なんかを話していたら、いつのまにか都内に戻って来ていて、車はあるホテルの駐車場に入った。
「えっ?あれ?ここ…ホテル、の駐車場だよね?」
「ん」
「えっ?何?…どうしたの?」
泊まり?は、マズい!
車から降りたら、確実に明るいところを歩くことになるし、何より泊まりだったら明日の服がないし。
明日もこの服着るってゆーのは困る!
「運良く、このホテルが取れて…今日はここに泊まろうかと思ってる」
雅治さん、ホテル取ってくれてたんだ!
あー…だけど…
「あの…嬉しいけど。その、俺、今日は、こういうとこ泊まるのはちょっと…着替えがないし。うー、ごめん」
せっかく取ってくれたのに、何とも複雑な気持ちで、すごく申し訳ない。
だけど、だけど…っ。
「あっ!そうだ!一度帰ってから着替え持ってもう一度来るって言うのは?」
「いや…うん。一度帰るのは時間の都合で無理、なんだ。ごめん」
「え?そうなの?」
時間の都合?
首をかしげる俺に、雅治さんが真面目な顔でこう言った。
「あの、さ。陸が嫌なら泊まらなくていい。…けど、少しでいいから付き合ってもらいたい所があるんだけど」
付き合ってもらいたいところ?
うー。
っていうか、泊まらなくていい、なんて言わせて…
俺何やってんだろ。
それに、付き合うって、何に?どこに?
雅治さんの真剣な顔を見ながら、困惑してしまう。
不意に、雅治さんの様子から、ある言葉が頭をよぎった。
我儘。
そうだ。
「ワガママ」だ。
遥香さんが言ってた。
『雅くんが我儘言っても、付き合ってあげてね』
って…
もしかして、この事なんだろうか?
遥香さんも知る何かが、ここにあるってこと?
何か特別な?
「…うん。いいよ」
そうだ。
女装で歩き回るのは嫌だけど、それよりも雅治さんの願いを叶える方が大事じゃないか。
それに、女装は俺の都合なんだし。
ここまで俺の我儘を聞いてもらったんだから、今度は俺が付き合う番だ。
「じゃあ行こう」
そう言って車を降りた雅治さんに続いて俺も車を降りた。
雅治さんの隣に駆け寄って、その手を取る。
指を絡めて、雅治さんを見上げた。
「やっぱり…泊まる」
俺がそう言うと、雅治さんが顔をフニャリとさせて笑った。
「ん…」
うん。
明日のことは明日考えよう。
とりあえず今は、雅治さん優先だ。
それからエレベーターでフロントまで上がった。
雅治さんがフロントで手続きしている間は、エレベーターホールの近くで人の目に付きにくいところに控えさせて貰ったけど…
遠くから雅治さんを見る。
カウンターの雅治さんの隣で手続きしているカップルの女性が、めっちゃ雅治さんを見てる。
うんうん。
本当にカッコいいよねぇ…
俺の、自慢の彼氏。
ふふふ。
「お待たせ、じゃ行こうか」
そう言って、雅治さんが俺のそばまで来て笑いかけた。
その笑顔にドキッとした。
そばにいる時は意識しないけど、ちょっと離れるとつい見惚れてしまう格好良さ。
その人と今からホテルの部屋に行って二人きりになると思うと…
………。
あ、今きっと変な顔でニヤケてた。
ヤバいヤバい。
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