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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …47
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チャペルの中は、廊下と同じような淡い光が室内を照らしていた。
まるで、ろうそくの光を思わせる様な暖かい光だ。
自然の木の良さを活かした椅子や高い天井は、とても柔らかくて暖かい空間を作り出している。
部屋の真ん中に、橋がかかっているかの様に見えるのは…バージンロードが真っ白なせいだろう。
参列者席には、先ほど挙式した人達の名残なのか、淡いピンクと白の花が飾られていて、この空間に幸せを添えていた。
もし、雅治さんと結婚式を挙げるならここが良い!と、思わず夢のような未来を想像してしまう。
大嶋さんに連れられて、参列者席の横を通って祭壇の方へ移動した。
バージンロードを歩けずに、ちょっとガッカリ…
祭壇へ近付くと、夜景が目一杯に飛び込んできた。
足元が、光の海のように見える。
「うわぁ…すごいね」
「あぁ…写真で見たのもすごかったけど、実物は想像以上だな」
「昼間は、天気が良ければ富士山も臨めますよ」
「へぇ!」
しばらく景色を眺めた後、教会の中へと視線を戻す。
ほんとに…
ここで雅治さんと式を挙げられたらどんなに良いだろう。
バージンロード…歩いたらだめなのかな?
なんて考えていたら横から視線を感じたので、そちらを向くと大嶋さんと目が合った。
「あの…もし宜しければ、なのですが…」
大嶋さんが、俺たちの顔を交互に見た。
「私が牧師役をやるので、宣誓を体験してみませんか?」
「え?」
せんせい?
首を傾げながら雅治さんを見ると、雅治さんは何か考える素ぶりを見せた。
「あぁ…」と呟いた雅治さんが大嶋さんを見ると、大嶋さんは何かを承知したような顔で頷いた。
ん?
何か、アイコンタクト取った?
「やって…みる?」
雅治さんが、そんなことを言った。
「??」
やる?何を?と問いかける前に、大嶋さんがこう言った。
「ついでに、バージンロードを歩いていただいても結構ですよ?」
その言葉にドキリとした。
俺がバージンロードを気にしていたの、バレてたのかな?
ってゆーか、バレてたんだよね?きっと…
あ。せんせい、って"宣誓"のこと?
結婚の…誓い?
「どうする?」
雅治さんの問いかけに、今一度バージンロードを振り返った。
こうやって聞いてくるってことは…
雅治さんはどちらかと言うとやる気なんだろう。
宣誓って、あの「誓います」ってやるやつだよね?
そんな恥ずかしいこと、雅治さんなら絶対に断りそうなのに。
二人きりならまだしも、こうやって第三者の前で。
どうするか少し考えた。
けど、きっとここはその提案に乗るのが正解なんだと感じた。
「うん…やる」
そう答えると、雅治さんが嬉しそうに笑った。
「お願いします」と雅治さんが言うと「ではこちらの方に…ここで少しお待ちください」と、大嶋さんは俺たちを伴って入口の方に移動した。
大嶋さんが一人、入口の横のドアの中に入ると、しばらくして教会の中に音楽が流れ始めた。
タイトルはよく分からないけど、聞いたことのある曲だ。
子供かな?コーラスが入っていて、ミサで歌うような曲じゃないだろうか。
大嶋さんが、白い箱を持ってドアの奥から出てきた。
「では、お二人、正面を向いて立っていただけますか?えーっと。本来なら別々にご入場いただくのですが…。今回はお二人一緒にお願いします。で、腕を組みましょうか」
説明されるまま、雅治さんと二人でバージンロードの前に立つ。
二人で目線を合わせて、どちらからともなく微笑んだ。
な、なんか、照れるっ。
雅治さんか差し出した腕に、そろりと自分の腕を絡めた。
正面を向いて、改めてバージンロードを眺める。
流れている曲のせいもあるのだろうか。
背筋が自然と伸びる気がして…胸が高鳴るのを感じた。
あぁ、俺、今から雅治さんと一緒にバージンロードを歩けるんだ。
いいのかな?
いいのかな?
ちょっと不安になって、雅治さんを見上げると…
俺の視線に気付いた雅治さんが、俺を安心させるかのように優しく頷いてくれた。
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