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つながる手 …1
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それから無言でおでんをつついた。
おでんはとても美味しかった。
何か話さなきゃと思うけど、ネタが出てこない。
そんな沈黙を破ったのは、小栗さんの方だった。
「連日の深夜残業の上に飲んだから、今の俺、かなり酔ってると思う」
「そうですか?見た目は全然変わりないですよ?」
「俺も、佐藤君を真似して、酔った勢いで思った事を口にしちゃおうかな?」
小栗さんは、今まで感じたことない雰囲気と目で俺を捕らえた。
まるで、野生動物のようなギラギラした目。
口の端を少し持ち上げて…
色気全開で俺の顔を覗き込んだ。
「な、な、何ですか?うん。ど、どうぞ。言ってください」
顎を引いて、気持ち小栗さんと距離をとって答えた。
「なんとかつなぎ。あれ、もう一回やって?」
「…え?」
なんとかつなぎ?
え?
もう一回って…
もしかして…恋人つなぎのこと?
「やって、じゃないな。やっていい? てか、やらせて」
そう言って、小栗さんは俺の返事も待たずに、俺の手を取ってカウンターの下でスルリと指を絡ませた。
「!!!!」
えっっ⁈
何⁈何この状況⁈
俺の手が小栗さんの手に捕えられています!
えーと、えーと、何がどうなって、こうなっているのでしょう⁈
ていうか、どうしてこんな事するの⁈
冗談?からかわれてるんだよね??
手と一緒に心臓も掴まれた感じでドキドキしてきた。
どうしよう。
俺、これ、どう対応したらいいの⁈
小栗さんは、とても情けない顔をしてるだろう俺の顔をじっと見つめながら、答えをくれた。
「この前、こうやって手をつないだ時…
すごくしっくりする感じがして。ビックリしたんだよね。
前に付き合ってた子とこういう風に手をつないだ事はあったけど、こんな風に感じたことがなかったから。手にも相性あるのかなって思って。
で、ずっと気になってたんで、確かめてみた。
うん。やっぱり、良いね…」
そ、そうなんだ!
小栗さんもそういう風に思ってたんだ!
何か…嬉しい。
それにしても、本当に指を絡めるのが気持ち良い。
手を握っただけなんだけど、何か…感じる。やばい。
今、完全に顔が真っ赤だ。
俺は、下を向いて小栗さんの手を握り返した。
「てっ、手にも相性あるんですかね〜。確かに。気持ち良いですよね〜」
っっは!!俺!!
バカ俺!!
小栗さんは「しっくりくる」「いいね」って言っただけで『気持ち良い』なんて言ってない!
俺イタイ奴じゃん!
はぁぁ
恥ずかしい!
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