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二人だけの飲み会 …4
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「本当は、連れてくるの悩んだ」
俺が、注文したおでんを食べ終わった時、それまで黙っていた小栗さんがそうつぶやいた。
「え?どうしてですか?」
「いや、ごめん。なんでもない」
いやいや、気になるでしょ?
「気になるじゃないですか!」
「…ん。そうだな。悪い。」
「俺なんかと屋台来るの、つまらなかったですか?」
なんか急に不安になってしまった。
小栗さんは、この前の約束に気を使ってくれただけで、本当は来るの面倒だったのかな?って…
小栗さんは、一つ息を吐いた。
「いや。そうじゃないよ。
…思い出すから。」
「思い出す?」
何を?
「ん。佐藤君の
…手」
小栗さんはこちらを見ることなく、またグラスを一気にあけた。
小栗さんももしかして気にしてくれてたのだろうか。
どんな意味でそう言ってくれたのか分からないけど、俺が小栗さんを意識し始めるには十分なセリフだった。
顔が、熱い。
「俺…僕も…あれは忘れられません」
今、俺はどんな顔をしているだろう。
いや、どんな顔をしたらいいんだろう。
小栗さんがどんなつもりで言ったのか分からないから、どう反応して良いか分からない。
様子を確かめるように、小栗さんを見た。
空になったグラスを見て何かを考えている様子の横顔。
きれいな横顔。
何を考えてるか知りたくて、そっとその顔を覗き込んだ。
ゆっくりと小栗さんの目が俺を捉える。
俺の顔を見て、一瞬、苦しそうに眉を寄せた後、徐々にその瞳に強い光を浮かべた。
前にここで見た、野獣のようなあの目だ。
怖い。でも、反らせない。
男の俺でも、ドキドキする色気に包まれる。
何を、考えているの?
「帰るか」
小栗さんが先に目をそらして、そう言った。
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