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二人だけの飲み会 …帰路
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屋台の前ですぐにタクシーを捕まえて、二人で乗り込んだ。
送ってくれるのは嬉しい。でも、まだ別れたくない。
分かってる、もう帰らなきゃ。
小栗さんは忙しい中、時間を調整して打ち上げしてくれただけなんだから。
「○○ホテルまで」と、小栗さんが運転手に伝えてくれた。
わがままだって、分かってる。
でも、でも
少しで良いから、触れて良いですか?
「俺、酔っちゃいました〜」
我ながら情けない。
女の子が、好きな相手を落とそうとするような、滑稽なセリフ。
でも、それしか思い浮かばなかった。
俺は、小栗さんの手を取って、指を絡めた。
「これ、癖になりそうです〜」
酔った振りなのか、本当に酔ってるのか、自分でも分からない。
ただ、小栗さんは何も言わなかった。
手を振り払われると思っていたのに、逆に握り返してくれた。
温かい。
隙間なく合わさる手が、とても気持ちが良い。
そう思うのもつかの間。
タクシーはすぐにホテルに着いた。
そっと手を離す。
夢を見るのもここまで。
現実に戻らなきゃ。
「今日はありがとうございました!お疲れ様でした!」
そう言って、タクシーを降りようとすると
「俺も降りるから」と、お金を払って、小栗さんもホテル前で降りてしまった。
「え⁈どうしたんですか?」
「会社に車、置いてるから。明日、休みの日に電車でここまで車を取りに来るの面倒くさいし、佐藤君に声かけた後に予約入れといた。
それにこのホテル、会社と提携してるから、うちの社員はすごく安く泊まれんの。うちまでのタクシー代と、そう変わらないしね」
そう言って、スタスタとフロントに言って、チェックインした。
俺も鍵を受け取って、一緒にエレベーターへと向かう。
何を話していいか分からず、お互い無言だった。
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