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拒めない手
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部屋について「お邪魔します」と、小栗さんがうちに上がる。
わー!変な気分!
あの小栗さんが、うちに来る日がくるとは!!
部屋に上がってコートを脱いだ。
小栗さんのコートを預かると、ふわりと小栗さんの良い香りがした…
この香り、好きだな。
買って来た物をテーブルに並べて…ベッドに背を預けて二人並んで座った。
落ち着いたところで、さっきの話の続きがどうしても気になってきた。
「あっ、あのー、先程の話の続きなんですけど…」
「続き?」
「居酒屋で…小栗さん、何か言おうとしましたよね?その…店員さんに邪魔される前に」
「あぁ…あれね…。聞いちゃう?」
小栗さんはビールのプルタブを開けた。
それを俺の前に置いて、自分用にもう一本開けてから話し出した。
「佐藤君が、俺と同じ事を考えているなら……だったかな…」
「同じ、こと?」
「そ。…俺、この前の事を謝るつもりで今日誘ったけど、佐藤君、全然俺の事避けてないどころか、嫌じゃなかった、とか言うもんだからさ…」
ゴクリと小栗さんがビールを飲む。
俺も結構お酒に強い方だけど、小栗さんはもっと強そうだ。
俺はほろ酔い状態なのに小栗さんは顔色一つ変わっていない。
俺もビールを取って一口飲んだ。
「あ、あの…小栗さんは、あの日の事、後悔してますか?」
さらにビールを飲もうとした小栗さんが、その手を止めて、俺を見た。
ゆっくりとビールを置いて、伺うように俺を見ながら…
そっと俺の手を取った。
拒めない。
と言うか、俺に拒む理由はないけど。
小栗さんは、何を考えてるんだろう。
取られた手をそのままに見つめ返したら、ゆっくりと指を絡められた。
ドキドキする。
指を絡められただけなのに、心臓が痛いくらいに脈打った。
「俺も、あの日の事は後悔してない。
むしろ、もう一度、こうしたかった」
目線も、手も、熱い…
ドキン、ドキンと心臓の音がうるさくて、俺の思考の邪魔をする。
俺は、ゆっくりと、手を握り返した。
指が絡む。
二人の隙間を埋めるように。
勘違いかな?と思うくらいの一瞬、戸惑ったような顔をした小栗さんは、すぐにいつもの余裕ある顔に戻って俺の手からビールを奪って、テーブルに置いた。
その手で俺の顔を小栗さんの方に向かせて固定される。
さらに、心臓がギュッと掴まれたように痛んだ。
「俺と同じように…また、こうしたいと思ってたのなら……俺、我慢しないよ?
俺、男だからね?こんな風に手をつなぐだけでは終われない。
佐藤くん…いいの?
今度こそ、後悔しない?」
後悔?そんな事
「…しません」
「よ」と、俺が口にする前に、その口は小栗さんの唇で塞がれた。
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