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ドライブ
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車内はラジオの音だけが響いていた。
二人だけの空間。
運転する小栗さんの横顔を盗み見る。
街灯に照らされて、ほんのり浮き出るその横顔は本当に綺麗で、こんな人の隣にいられるのが不思議なくらいだ。
なんでこんなに素敵な人が、俺の隣にいるんだろう。
赤信号で止まった時に、小栗さんがこちらに顔を向けた。
「そんなに見られると、照れるんですけど?」
「っ!!ごめんなさい」
こちらに向けた顔は、とろける様な甘い笑顔だった。
涙が出そうなくらい、胸がキュウンとした。
切ない… 幸せ… 切ない…
信号が青に変わって車が動き出す。
俺は窓の外を見て、胸の痛みに気付かないフリをした。
そのうち、窓の外にレインボーブリッジが見えた。
ライトアップされて闇に浮かび上がる様がとてもキレイ。
今まで何度も見た夜景だけど、今までにない気持ちでそれを眺めた。
橋を渡って、お台場の海浜公園の近くに車を停める。
エンジンを切って、小栗さんがまたハンドルにおでこをつけた。
「ドライブに行こうとか偉そうな事言っときながら、俺の知識は学生の時に来たここくらいしかなかった…。もっと下調べしときゃ良かったな…」
「学生の時…よく来たんですか?」
「実家は横浜で大学は都内だったからね。あの頃は親の車借りて、何度か来たな」
「彼女とデートですか?」
あっ。こんなこと聞くつもりなかったのに、勝手に口から出てしまった…
小栗さんがゆっくりと俺に顔を向けた。
「ん?ま、そういう事もあったけど……何?ヤキモチ?」
ニヤリと小栗さんの口が弧を描く。
「い、いえ。そういう訳じゃ…」
「佐藤君は、ここ、彼女と来たことあるの?」
「まぁ…そういう事もありましたね」
小栗さんが両手で俺の頬を挟む様に包んだ。
「オレ今、ヤキモチ妬いた」
そう言って、チュと軽くキスをして目を細めた。
「〜〜!!過去のことですっ!」
「フッ…そうだな。これから俺との思い出作りに行こう」
なんてキザな事を言って、車を降りた。
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