アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
後輩救出 …2
-
スカジャン男は小栗さんの顔を見て「ヒッ」と声にならない声を上げた。
小栗さんが俺の肩を引き寄せて、アキちゃんの腕を取ってる金髪男に向かって言う。
「聞こえなかったのか?その汚い手、離せって」
「はぁ?お前なんなの?」
金髪男は小栗さんのオーラにも怯まない。
ケンカ慣れしてそうな感じで、本当に怖い。
アキちゃんと、もう一人の女の子は震えてるようにも見える。
その時「痛え!離せ!」と、小栗さんに手を取られているスカジャン男が言った。
小栗さんから手を抜こうともがいてるけど、小栗さんはピクリとも動かない。
目だけその男に向けて、パッと手を離す。
勢いで、スカジャン男は尻もちをついた。
それを見て、金髪男がアキちゃんから手を離し、小栗さんに向かって来て「てめえ!」と胸ぐらを掴もうと手を伸ばす。
小栗さんは俺をパッと離し、男をさらりとかわして、腕を取り後ろに捻った。
「痛っ!!」
「これ以上恥をかきたくないなら、今のうちに去るべきだと思うけど?」
金髪男が顔を歪めてすぐに、小栗さんは手を離す。
男はよろめいて、地面に手をついた。
おおお小栗さん、すごい!
ハリウッド俳優は、アクションも完璧です!
そう言えば、中国拳法やってたって言ってたよね。
俺は映画のワンシーンを見るように見惚れた。
そうこうしてると、俺たちのゴタゴタに気付いた人たちが、周りに集まってこちらを見ていた。
ギャラリーに気付いたチャラ男二人は立ち上がって「覚えてろ!!」とダサい捨て台詞を吐いて、早足で去って行った。
それと同時に、ギャラリーも去っていく。
「す、すみません。ありがとうございました」
振り返ってそう言うと、怖い雰囲気は消えてハリウッドオーラだけを残した小栗さんがそこにいて、俺に微笑んでくれた。
やばい。
超カッコ良い。
「佐藤さん!ごめんなさい!本当に助かりました!ありがとうございました!」
アキちゃん達二人が近寄ってきて頭を下げた。
「いや、俺は何もできなかったけどね」
二人は今度は小栗さんに向かって頭を下げた。
「本当にありがとうございました!」
小栗さんは
「大変だったね」
と、キラキラ笑顔で返事をした。
その笑顔を見て、二人が頬を染めて固まる。
「…あっ、あの、こちらは佐藤さんのお友達ですか?」
アキちゃんが訪ねる。
「あ、うん」
ここは、友達って言うことでいいよね?
「あの!何かお礼をさせてください!」
アキちゃんの友達が目をキラキラさせて、小栗さんを見た。
「いいよ。気にしないで。…もう遅いし、気をつけて帰りなよ?」
小栗さんがこの場を去ろうと身体の向きを変えるのを見て、俺もそれに続こうとした。
「じゃ、気をつけて…」
「あのっ!佐藤さん達は…まだ、帰らないんですか?」
アキちゃんが何かを期待するようにこちらを見る。
んんん?
これは、送ってもらいたいって事なのかな?
それとも、一緒にどこか行こうって事なんだろうか…
何にせよ…今は邪魔されたくないんだよね…
「あー。そうだね。ちょっと真面目な相談があって、この人に、聞いてもらってたとこなんだ」
だから、もう二人にして。
「あ、そうなんですね…そんな時に、すみませんでした」
「いや、助けられて良かったよ。…って、助けたのは友達だけど。はは。じゃ、気をつけて帰ってね」
そう言ってバイバイと手を振って、こちらを見る二人を残してその場を離れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 559