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お台場にて
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「先程は、ありがとうございました。俺一人だったら、助けられなかったですね…かっこ悪…」
海沿いを歩いて、人がまばらなところで腰を下ろしてペットボトルを開けて飲んだ。
少し離れて小栗さんも座る。
「いや。かっこ良かったよ?ああ言うの、なかなか出来ないだろ?」
「うーん。でも小栗さんの方が断然かっこ良かったですよ」
「…惚れた?」
小栗さんが首を傾げて俺を見た。
「〜〜っ。とにかく、かっこ良かったです」
ペットボトルのお茶をゴクゴクと流し込んだ。
うん。
本当にかっこ良かった。
肩に手を置かれた時なんて、すごい守られてる感がして、ときめいてしまいました。
イケメンでスタイル良くて、仕事出来て、優しくて、その上強いなんて…男として完璧過ぎる。
…惚れない、訳がないよ。
小栗さんが手を伸ばして、俺のペットボトルを取った。
それを傾けて、ゴク、ゴクと飲んだ。
親指で、濡れた唇を拭う。
行動の、一つ一つが絵になる。
ズルいなぁ。
どうしても目で追ってしまうよ。
小栗さんを知る度に、色んなことが俺を捕らえていく。
波の音が、ザザン…と心地良く響いていた。
その波のように、じわり、じわりとある感情が俺を侵食していく。
もうそこから目を背けることが困難なほど、それは根深く刻まれる。
しばらく何も言わずに海を見ていたら、小栗さんがこちらにペットボトルを差し出した。
俺はそれを受け取ろうと掴む。
小栗さんと指が触れた。
小栗さんはペットボトルを、離さない。
指が触れたまま、視線が絡んだ。
小栗さんに見つめられると、いつも冷静じゃいられなくなる。
俺の方が根負けして目線を外した。
小栗さんがペットボトルから手を離し、立ち上がって
「冷えたし、車に戻るか」
と、俺に手を差し出した。
俺は一瞬ためらったけど…その手をしっかりと握って立ち上がった。
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