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偶然ばったり
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「あれー?Tエンジの…佐藤君じゃない?」
突然、後ろから声をかけられて振り返ると、そこには酔っ払った感じの…えーと…
「あ、加藤さん!」
小栗さんと同じ部署の加藤さんがいた。
そしてその横には…
小栗さんがいた。
えっ⁈なんでこんなところに⁈
俺は慌てて、アキちゃんの手から逃げるように腕を引いた。
小栗さんに、今のやりとり見られてたんだろうか。
だとしたら嫌だな…
「あっ、お世話になってます!加藤さん、小栗さん、どうされたんですか?こちらへは出張ですか?」
「そうそう〜!あっ、出張は俺だけ〜。小栗は東京に異動に、なったの〜」
楽しそうに加藤さんが話す少し後ろにいる小栗さんは、何だか少し機嫌が悪そうに黙っている。
「え?小栗さん異動になったんですか?なんか…大変ですね〜」
ははは、と加藤さんにバレないように、適当に返事した。
「隣の可愛い子は、佐藤君の彼女〜?」
「あっ、いえ、会社の後輩です。
アキちゃん、こちらはS電機の開発部の方だよ」
俺がそう紹介すると、アキちゃんが頭を下げた。
総務のアキちゃんは、取引先とかちゃんと把握してくれている。
「いつもお世話になっております」
「わー。ここで会ったのも何かの縁だよ!この後予定なかったら、一緒に飲みに行かな〜い?」
「あ、えーと…」
俺がチラリと小栗さんを見ると、小栗さんはフイと俺から目をそらして、加藤さんに言った。
「ほら、邪魔しちゃ悪いだろ。行くぞ、加藤」
そう言って、加藤さんの肩を押そうとした時
「わー!嬉しいです!ちょうどもう一軒行こうか考えてたんですよ〜!ご一緒させてもらいたいなぁ!ねっ!佐藤さん?」
そう、アキちゃんがおじ様キラーの笑顔を振りまいて言った。
加藤さんが「ナンパ成功〜」とか言いながら、小栗さんと並んで歩く。
二人ともネクタイはしていないけど、そのスーツ姿が「ザ出来る男」な感じでとてもカッコ良い。
後ろに、俺とアキちゃんが続く。
「佐藤さん…あの、右側の人…お台場で会った人ですよね?」
アキちゃんが小声で聞いてきた。
やっぱり、そう来るよね…
「あっ、…うん、そうなんだけど…。実は、その事は加藤さんには…って言うか、皆には秘密にして欲しいんだけど…。
あ、ほら!お客さん相手と個人的に仲良くしてるのとか、印象悪いだろ?」
背中を変な汗が伝う。
俺たちの関係もバレそうで、ヒヤヒヤした。
「んー…。確かにそうですね。分かりました」
アキちゃんは何か考えるように、そう答えた。
話題、話題変えなきゃ。
「アキちゃんは、どうして加藤さんの誘いに乗ったの?」
「そうですね。気になったからですかね。
…ちょっと、知りたくなっちゃって」
「えっ?何を?」
「…佐藤さんの事を」
どういう、事だろう…
それからは、お店に着くまで二人して黙って歩いた。
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