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4人でバーへ
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加藤さんが東京に来たら行くというオススメのバーに入って、テーブル席に腰掛けた。
俺とアキちゃんが並んで座って、俺の前に小栗さん、アキちゃんの前に加藤さんが座った。
小栗さんはハリウッドオーラをピリピリ出して、すごく、なんと言うか、余所余所しい感じだ。
ま、他人の目があるところでは当然と言えば当然なんだけど…何か、ちょっと淋しい気分になる。
二人の時以外は、所詮他人でしかないんだ…
胸がズキンと痛んだ。
飲み物を頼んでから、改めてアキちゃんを小栗さん達に紹介した。
「後輩です」ってところを気持ち強調して、小栗さんを見た。
目が会った時、一瞬だけど、いつも見せてくれる笑顔で微笑んでくれた。
それだけで、さっきまでの淋しい気持ちが浮上する。
俺、単純…
「小栗さんって、いつこっちに来られたんですか?もう東京は慣れましたか?」
加藤さんとアキちゃんがお互いの話で盛りがってるかと思っていたら、突然、アキちゃんが小栗さんに話題を振った。
俺は慌ててアキちゃんを見た。
変なこと言わないでよ〜
ヒヤヒヤしながら今度は小栗さんを見る。
「あぁ、4月からだよ。元々こっち出身だから、まぁ不便はないね」
小栗さんは飄々と答えた。
すごい…全然動揺してなさそう…
「へえ〜…。お二人ってカッコ良いですよね〜。結婚はされてるんですか?彼女とかは?」
てか、アキちゃんすごい…
大人しい子だと思っていたのに、アキちゃんのペースで会話が続く。
外見みたいに中身もふんわりした子かと思ってたけど、意外としっかりした子なのかな…
「俺もこいつも結婚はしてないよ〜。アキちゃんは?彼氏いるの?」
加藤さんはいつの間にか「秋吉さん」から「アキちゃん」と呼び方を変えていた。
「今はいませんよ〜。でも好きな人はいます」
「そうなんだ!でもアキちゃんみたいに可愛い子なら、大丈夫でしょ!俺なら即OKするよ」
今日一日で、加藤さんにタラシのレッテル貼りました…
「付き合えたら嬉しいんですけどねぇ…どうやら彼には他に好きな人がいるみたいなんです」
なぜかドキリとした。
居酒屋を出た後の話の流れからすると…
アキちゃんは俺に好意を持ってくれてるんだと思う…
思うけど、彼には他に好きな人が…って事は、俺とは違う人の話の事?
んん?だとしたら、俺、自意識過剰?
…恥ずっ…
「へえ。でも秋吉さんなら、すぐに別の良い人が現れるよ」
突然、それまで黙っていた小栗さんがアキちゃんに微笑みかけた。
「そうですかねぇ?だけど、簡単には彼のこと諦めるつもりはないんですよ〜」
アキちゃんはへへっ、と可愛らしく笑った。
…あれ?
何か、二人の笑顔に違和感。
お台場での事、打ち合わせもなく黙ってるから、変な感じになってるのかな?
「そうだ、小栗さんって週末とか暇ですか?今度、私の友達に紹介したいな〜」
「えっ?俺にも紹介して〜」
「え〜、加藤さんとくっついたら、遠距離じゃないですかぁ」
「ははは」
何だ…この二人の合コンみたいなノリ…
「ごめん。俺は遠慮しとくよ」
小栗さんがニコリと口だけ笑って、答えた。
「泣かせたくない子がいるから」
そう言って、チラリと視線を向けた先には……俺。
ちょ、ちょ、そこで俺を見るの反則!!
顔が熱い!
俺はそのくらいで泣きませんよ!
…って、あれ?
これも自意識過剰だったりする?
小栗さんは、いるのかな?
…泣かせたくない子が。
……好きな人が。
「ええっ!何それ?お前、いつの間にそんな相手がいたの?何?こっちで?あ、河野だろ?あいつ、やたらとあっちにいた頃のお前の様子を気にしてたぞ」
「はあ?なんで河野?違うよ」
…かわの、って話の流れからすると、女の人だよね。
知らない名前に胸がチクチクする。
でも、俺にはチクチクする権利なんてないんだという思いがふと頭をよぎったら、さらに胸が痛んだ。
「小栗さんって、モテて大変そうですね。大切な人がいるなら、ちゃんと気持ち伝えて捕まえとかなきゃ、小栗さんの意思とは関係なく泣かせちゃいますよ〜」
アキちゃんがコロコロと笑った。
「…そうだな」
小栗さんが目線を下げて、フッと笑った。
小栗さん…
今、誰の事を考えているのかな?
それから、アキちゃんは見事に話題を180度変えて、場を盛り上げてくれた。
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