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逢瀬
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電車を降りて、改札を出る。
小栗さんの住んでいるところは、以前聞いて知っていた。
駅を出て、小栗さんに電話をかける。
呼び出し音が2度鳴る前に、小栗さんが出た。
『はい』
「あの……今、駅に着きました」
『…ん。俺も今ちょうど加藤と別れたとこ。今どこ?』
「○○口を出たところです」
『じゃ、目の前のロータリーにいて』
ロータリーで待っていると、しばらくして一台のタクシーが入って来て、小栗さんが降りてきた。
俺を見つけると「乗って」と、タクシーに乗せられた。
小栗さんが行き先を告げた後の車内は無言。
タクシーは程なくしてあるマンションの前で止まった。
小栗さんの家に来るのは初めてだ。
緊張する…
無言のまま、部屋の前まで来た。
小栗さんがガチャリとドアを開ける。
俺に入るように促すかのように、ゆっくりとこちらを見た。
「お、おじゃまします…」
俺が先に部屋に入る。
バタンとドアが閉まる。
と同時に後ろからふわりと抱きしめられた。
小栗さんの、香り……
小栗さんは俺の首筋に顔をうずめて、大きく息を吸ってゆっくりと吐き出した。
「まさか、あんなところで会うとはね」
「…びっくり、しました」
「秋吉さんは……」
小栗さんは少しの間、黙った。
「秋吉さんとは、何もないのか?」
「え?」
「いや…今、ここにいることが、答え…でいいのかな?
…来てくれて…良かった」
小栗さんはギュっと腕に力を込めた。
「アキちゃ…秋吉さんは、ただの後輩です」
告白されたことを言おうか悩んだけど、やめておいた。
何か、この雰囲気を壊しそうな気がしたから。
「フッ」と、小栗さんが笑って、俺をくるりと回して向かい合わせになった。
「ただの後輩だとしても……嫉妬した俺は、どうかしてるのかな。こんな風に嫉妬心むき出しにして佐藤君をうちに呼んだりして」
嫉妬?
向かい合わせになったけど、小栗さんは目を合わせてくれなかった。
小栗さんとの間に感じる見えない壁。
俺はそれが絶えられなくなって、それを破るように、小栗さんに唇を押し付けた。
唇を離して見上げると、ようやく目を合わせることができた。
窓から入る月明かりに照らされて、優しく俺を気遣う瞳がそこにある。
「嫉妬…してくれて、嬉しいです」
お酒の力なのか、アキちゃんの影響なのか、俺の口からはそんな言葉が出た。
もう一度唇を近付けようとしたら、小栗さんに両手で顔を包まれて強く引き寄せられた。
「んぅ…っ」
激しいキス。
だけど、唇はとても柔らかい。
小栗さんの手は俺の後頭部と腰に回されて、身体が密着する。
一層深く口付けられた。
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