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友人の相談 …1
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夕方、オカから電話で呑みに誘われた。
何か、相談があるらしい。
一人で夕飯食べるの寂しいなと思っていたので、即OKした。
オカが指定した待ち合わせ場所は、あのマスターのいるいつものバーだった。
一軒目からここって言うのは珍しい。
カランとドアを開けて中に入ると、カウンターの一番端にオカが座っていた。
開店直後だからか、他に客はいない。
「お、佐藤くんいらっしゃい!」
マスターの声でオカが振り返って「よっ!」と、手を上げた。
オカの隣に座って、ビールと二人分のスパゲティを注文する。
「今日は突然悪かったな」
「いや、いいよ。ちょうど俺も誰かと飲みたかったから」
届いたビールで乾杯する。
俺はとりあえず、それを一気に飲み干した。
コン!とグラスを置くと、オカも同じようにビールを飲み干していて、顔を見合わせて笑った。
ビールのおかわりを注文してから、オカがぼそりと話し出した。
「俺、彼女と別れるかもしれない」
「えっ!」
突然の重い話にびっくりした。
「年末、マスターに結婚の事とか聞いてたじゃん?てっきり結婚するもんだと…。あれから何かあったの?」
オカは盛大にため息を吐いた。
「実はさー……俺ら、身体の相性ってゆーの?それが、良くなくてさ。この前、マスターの話を聞いた時、やっぱり無理なのかなーって思って…」
「でも、彼女のこと大事にしてたよね?その…身体の相性以外でもなんか合わない所があるの?」
「それが、無いから、辛い…」
それから黙ってしまった。
オカはこうやって何か考えてる時は黙る癖があるので、そう言う時は俺は少し放って置くことにしている。
ビールをチビチビ飲んでると、スパゲティが来た。
いつも、味はおまかせなんだけど、今日はペペロンチーノみたい。
マスターは、ここで働く前に何処かの厨房で働いていたらしく、料理も上手い。
スパゲティを、一口。
「あー。やっぱりマスターのスパゲティは最高です。ビールに合うー!」
マスターが「ありがと」とニコリと微笑んだ。
それからマスターは、オカに目線を向けた。
「さっきの聴いちゃったけど…俺の変な話が原因で別れ話になってるとかなら、責任感じちゃうなぁ」
と申し訳なさそうに言った。
「いえ。マスターのはきっかけに過ぎないって言うか…もともと相性が悪かった事は悩んでたんで…」
オカもスパゲティを取って口に入れた。
「具体的に、どう悪いの?」
マスターが突っ込んで聞いた。
「んーー。…その…彼女がエッチが嫌いなんですよねー。
俺が触っても感じないみたいで。不感症とか本人は言ってましたけど…。で、そんなままで入れたら痛いから、嫌がられちゃって。
俺も気持ち良くなれないし…
でも、俺が求めたらやらせてくれて…何かセックスは義務じゃないけどお互い仕方なく相手してるみたいになっちゃって…」
マスターは「ふーん」と頷いた。
「俺が言うのも何だけど…結婚ってセックスが全てじゃないよ?」
「…でも…」
オカが口ごもる。
マスターはしばらく考えてから、オカに言った。
「気を悪くしたら申し訳ないんだけど…彼女って本当に不感症なの?」
「え?」
「岡本君は、彼女に不感症って言われて、それがどう言うものかちゃんと調べたりした?」
「い、いや…」
オカが眉間にシワを寄せた。
「例えば、彼女に合ったセックスが出来てないってことが原因かも知れないよ?
感度も感じ方も感じる場所も人それぞれだよ?女の子が皆、AV女優と同じように反応すると思っているなら、それは大間違いだからね。
岡本くんは、彼女が本当にどこも何も感じないって言い切れるくらい、彼女に触れた?頭の先から、足の指先まで」
オカは黙って俯いた。
「セックスってさ、お互いが気持ち良くなって成り立つ行為なんだと思うんだよね。だから、恥ずかしくてもちゃんと言葉を交わしながらやるべきだよ?
もし、今までそう言う事をやっていないなら、ね?」
オカは持っていたフォークを置いて、何かを考えるように黙って聞いていた。
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