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カクテルの代償
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カクテルをゴクリと一口。
…ん?
コーラの色をしてたからラムコークかな?と思いきや…何かアルコールがかなり強い…
「これっ。何ですか?」
オカがマスターに聞いた。
「ロングアイランドアイスティーだよ」
「え?なんですか?そのアイスティーって…」
「ジンとウォッカとラムとテキーラを混ぜたカクテルだよ。意外と飲めるでしょ?」
「「ええ⁈」」
びっくり!何?そのちゃんぽんカクテル!
でも、それだけ混ぜたらキツそうなのに、意外と飲める。
「佐藤君、酔ったら素直になるしね」
マスターがバチンとウインクした。
す、素直って…
マスターは、別のお客さんから注文が入ってカクテルを作り始めた。
「よし!さとちん、飲め!俺は酔いたい気分だ!」
オカがグラスを口にして、ゴクゴクと半分飲み干した。
「マスターの酒が飲めないとは言わせない!そして、吐け!吐いて楽になるのだー!」
オカがビシッと俺を指差した。
「ふふっ!オカ、もう酔ってるの?」
「酔ってない!いや、酔ってるかも!ただ、今日のさとちんの様子がおかしいのは分かる。だから、酔っちゃえよ!」
オカの不器用だけど優しい言葉がなんだか嬉しかった。
「ありがと…」
俺もグラスを傾けた。
身体にアルコールが回るのが分かる。
美味しい…
マスターが氷を割りながら言った。
「俺も気になってたよ。前に話を聞いたあの人…結局、あれから会えた?…相性、確かめられた?」
マスターがウヒヒと笑った。
相性…
最後までやってないけど…
間違いなく相性はいいと思う…だって、あんな事もこんな事も気持ち良かったもん…
俺が黙っていると、オカが乗り出して来た。
「え?さとちん…その人とやったんだ?」
「えっ⁈いや…えっ⁈何でっっ?」
「いや、今、確実に何か思い出しただろ?」
カアッと一気に体温が上昇するのが分かった。
「おっ!どうだった?…って、その顔は…そうか…おめでとう、で良いのかな?ははっ!俺のおかげ??」
「えっ…あのーー……」
「俺の酒、呑んだろ?なら、喋らないとなぁ〜」
「う…」
二人の視線が痛い。
もう、何か言わないと収まらない雰囲気に流された。
「ハイ。……マスターのおかげです。ありがとうございました」
オカが「うおー!!さとちーーん!!」と、ウザい。
「え?でも、それでなんで付き合ってない訳?」
「え?付き合ってないの?相性試しただけ?」
オカの言葉でマスターが驚いた。
うわーーん
何でこんなに責められるの?
「いや…付き合うも何も…好きとかそういうんじゃないから」
オカがカクテルを飲み干して「っかー!」と息を吐いた後、ゴトンとグラスを置いた。
「…は?何それ?さとちんって、そんな風に遊びでやったりする奴だっけ?それとも何?さとちん、遊ばれてんの?『あの人』って言うくらいだから、年上なんだろ?」
「いや!遊んでるつもりも、遊ばれてる訳でもない…と、思う」
上手く、説明が出来ない。
「何か、付き合えない理由があるんだ?」
マスターが真面目な顔して聞いてきた。
俺は黙って俯いた。
何も言わなかったけど…何も言えないことが、マスターへの答えになったようだ。
「それで?好きにならないようにしてるの?…それとも、好きなのに気付かないようにしてるの?」
俺は何も言えない。
マスターは出来たカクテルをお客さんの所へ運んで行った。
その間、オカは何も言わずに俺を見ていた。
それが逆に辛かった。
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