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会いたい
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時計が22時を回った頃、オカが「酔った勢いでぇ、今後の事を彼女と話して参ります!」と言って、足早に帰って行った。
かなり酔ってたけど大丈夫かな?
てか、酔った状態で真面目な話とか…逆に彼女に怒られないか心配。
…でも、上手く行くといいな。
駅でオカと別れた後、俺は小栗さんの家に向かった。
俺もオカのこと言えないな。
はは…
何せ酔った勢いだもん。
好きと認めたら、急に素直になれた。
会いたい。
もしかしたら会えないかもしれないけど、もし会えたら…幸せじゃないか。
そう考えたら、なんだか夕方モヤモヤ悩んでいたことがスッキリした。
電車に乗って、小栗さんに"今から会えますか?"とメッセージを送った。
最寄り駅に着くまで返事が来なくて、すごく不安になったけど、その不安が「好き」から来るのだと分かれば、今までよりは全然辛くなかった。
改札を出て、記憶を頼りに歩いている所で、電話がかかってきた。
慌てて通話ボタンを押す。
「もしもしっ」
『佐藤君?どうしたの?何かあった?』
小栗さんの優しさに心が温かくなる。
「いえ…あの、今から小栗さんの家に行っても良いですか?実はもう、すぐ近くまで来てるんです。ただ、えーと、マンションがよく分からなくて…」
小栗さんは、俺のいる場所を確認して、迎えに行くからと言って電話を切った。
心臓が、ドキドキする。
それから10分もしないうちに、小栗さんが来てくれた。
スウェットにパーカーを羽織って、風呂上がりなのか、髪は自然に降りていた。
…会えた
…嬉しい
会えただけでこんなに幸せになれる事を教えてくれたマスターに、感謝の気持ちでいっぱいになった。
俺は飛びつきたい気持ちを抑えて、小栗さんにゆっくり近付く。
「急に来てすみません」
「いや、いいよ。ていうかこんな遅くに、どうしたの?何かあった?」
「あ、そうですね。こんな遅くにすみません。友達と呑んでて、酔った勢いで来ちゃいました…あははっ」
「それは全然構わないけど…。とりあえず、うちに行こうか」
小栗さんは優しく微笑んで、歩きだした。
「あ、今日は悪かったね。急に会社のヤツに捕まって…」
「いえ、今こうして会えたからそれでいいんです」
「そっか…」
俺がエヘッと笑うと、小栗さんは頭をポンッとなでてくれた。
優しい手、色んなものをくれた手。
愛おしい。
もっと、もっと触れられたいよ。
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