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いつか、
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その日は少し仕事が残っていたので、残業する前にコーヒーでも飲もうと、定時後に自販機に向かっていると、業務を終えて帰ろうとしていたアキちゃんと一緒になった。
「あっ…佐藤さん…お疲れ様でーす」
「あ、うん、お疲れ〜」
週末の事を思い出してか、お互いギクシャクした挨拶になってしまった。
「金曜日は…ありがとうございました。えっと…あの後…どうなりましたか?会えましたか?」
アキちゃんが周り誰もいないことを確認して、聞いてきた。
「え⁈あ〜、まあ、うん…そうだね…」
「ふふっ。私のおかげですね〜。そうだ!もし、付き合う事になったら教えてくださいよ〜?私、二人の事が気になって仕方ないんですっ」
後半、拳を握りしめて力説された。
「えっ?いや…だから、そんなんじゃないから…」
「え〜?んも〜、つれないなぁ…」
アキちゃんがちょっと淋しそうに笑った。
その笑顔にチクンと胸が痛む。
この子には、本当の事を言っても良いんじゃないか。
それが、俺がこの子に返せる誠意なのかも知れない。
「あの…「あっ、アキちゃんお疲れ〜」」
俺が言おうとした瞬間、数人が俺たちを抜かして行った。
アキちゃんが「お疲れ様でした〜」と返した後、俺の方を向いた。
「今、何か言おうとしました?」
「あっ!いや、なんでもないよ!俺、自販機に行くところだったから…またね!お疲れ様でした」
「えっ?あの!」
何か言いたげなアキちゃんを置いて、俺はその場を去った。
俺、何を言おうとしてたんだろ。
いや、実は聞いてもらいたかったのかも知れない。
誰にも言えないこの気持ちを、アキちゃんに聞いてもらいたかったんだ。
「はぁーーー」
俺は言い出せなかった言葉の代わりに盛大なため息を吐き出して、そのうちアキちゃんに話そうと決めたのだった。
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