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GW前半
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ゴールデンウィーク前半のある日。
地元の友達と集まって BBQを開催した。
小中学が一緒の、男女が半々くらいの10人のグループだ。
人数は毎回変わったりするけど、ほぼ同じメンバーが揃う。
気心知れた友達で、いつ集まっても変わらない雰囲気が大好きだ。
会ってすぐに、皆から「髪が伸びた!」と指差された。
高校の終わり頃からベリーショートにしたので、眉が隠れるほど髪を伸ばしたのは久しぶりだから。
「さとー、なんか可愛くなったね〜」
散々食べて飲んでる途中、男友達からそう言われた。
「色気が出てきたって言うかー。やべえ、さとーなら抱ける!」
ガバッと抱きつかれて俺がよろけると、他の奴らが「お前、酔いすぎ!」と、そいつを俺から引き剥がしてくれた。
「俺は、男に趣味ない!」
と、そいつに言うと「でもさー」と女子に突っ込まれる。
「さとくん、何か雰囲気が中性的になったよね。なんか違う人みたいで、最初ドキッとしたもん。」
「あー分かるー!」
と、盛り上がられてしまった。
小栗さんの影響…かな。
ある意味…女になった…し…
とりあえず、誤魔化さないとっ。
「髪のせいかなぁ?」
そう答えると
「服装も変わったよね。でも、それだけじゃないような…うーん」
「あ!私、分かった!彼女出来たでしょ?それで彼女のセンスに合わせてるんだ!!」
女子がキャッキャと、盛り上がり始めた。
「いや。そーゆーんじゃないから」
「じゃ、まだ付き合う前?どっちにしろ、誰かに影響されたんでしょ〜!」
長いこと付き合いがあるからか、お互いの事は結構分かる。
だから、ここで嘘をついてもバレる気がした。
「うーん。ま…そう、かなぁ?」
「さとくんにも、久々に春がっ⁈」
「おおー!!」と、全員に拍手される。
も、恥ずかしいからやめて…
「あれー?ゴールデンウィークとか、会ったりしないの?デートはっ?」
「あー…デートって言うか…まあ、会う約束はしたけど。そういや、まだどこ行くか決めてないなぁ」
「うおー!!」「きゃー!!」と、場が盛り上がる。
…ネタを提供出来たみたいで光栄です。
そして、なんか勝手に俺のデートプランを皆で考え出した。
相手が車持ってるからドライブかなぁ、と呟くと、車で行けるデートコースみたいなのを議論し始めた。
「そろそろ、夜光虫の季節だ!」
突然そう誰かが言った。
5月くらいから東京湾とかで見れる夜光虫は、海のプランクトンで、大量発生するとそれが夜に光って見えるらしい。
海岸とか波打ち際が青白く光るらしいのだ。
光る波、みたいな?
…それは見てみたいかも。
「夜の海!自然のイルミネーション!寄り添う二人!」
「「きゃー!!」」
完全に酔っ払いの集団。
「それから、良い雰囲気のまま…何処かに消えちゃいますか?」
さっき俺に抱きついて来たやつが、俺の肩を組んでそう言った。
「あのねぇ」
ふざけるのは無し!と言おうとしたけど、先に誰かが口を開く。
「あー、でもゴールデンウィークだもんなぁ。今からホテルも旅館も取れないでしょー?」
「そうだよなぁ…キャンセル待ち?」
皆がうーーんと唸る。
「ラブホで良いじゃん?」
なぁ?と、隣の奴が肩をさらに引き寄せたと思ったら、ほっぺにチュウされそうになった。
「うわっ!」
また皆で、そいつを引き剥がしてくれて、この話は終了となった。
改めて思う。
俺が大丈夫な男は、小栗さんだけ。
うん。
その後皆に隠れて、小栗さんに「夜光虫を見に行きたいです」とメールした俺は、実はそのデートコースが満更でもなかったのでありました。
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