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思わぬ出来事 …1
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食事の後、すっかり暗くなった道に車を走らせて、昼間チェックした海岸に向かう。
途中で道の駅に寄って、ミネラルウォーターを小栗さんが買ってくれた。
「ありがとうございます」
差し出されたボトルを受け取って、斜め前のカップホルダーに入れようと思ったら…
あれ?カップホルダーの底に何か入ってる…
「佐藤君ごめん。今度はトイレ行ってくる」
「どうぞー」
小栗さんが行ったのを見送ってから、カップホルダーの底に手を伸ばした。
手に取って見ると、黒い小さな筒だった。
暗くてよく見えない…け、ど…
これは……もしかして?
両手で左右に引っ張ると、カチッとフタが取れた。
やっぱり、口紅…だ。
何で?何でこんな所に口紅が?
小栗さんが使う…訳無い。
じゃ、誰かがここに乗ったって事?
口紅が入ってたって事は、ここで口紅塗り直した…?
それくらい、一緒にいたってこと?
いや、バッグからこぼれ落ちたのかな?
どっちにしろ、女の人がここに座ったんだ。
…間違い無い。
俺はテンパったせいか車内にいることが辛くなって、ドアを開けて外に出た。
車から離れながら、ひとまず深呼吸。
「はぁーー」
落ち着け、俺。
変なことじゃ無い。
ただ、小栗さんが誰かを隣に乗せたってだけだ。
その人が、口紅忘れただけ。
それに…そう言う事を俺がとやかく言える立場では無い。
もし、もしそれが彼女だとしたら?
それも…俺がどうこう言える立場では無い。
気にしちゃダメだ。
…ダメだって思うけど…考えちゃうよねぇ
「はぁーー」
その時、後ろから人が近づいて来た。
「かーのじょっ?ひとり〜?」
「?」
俺のこと?と振り返る。
30前半くらいの男がこっちを見てニヤニヤしていた。
「あれ?…男?…でも君、可愛いよね。ねぇ、そんなため息ついてどうしたの?俺がどっか楽しい所に連れてってあげるよ?」
何?こいつ?
しかも俺様口調。キモい。
「いや、俺、男なんですけど?」
「あ、本当だ。声で分かった。けど、本当可愛いね。良いじゃん?俺、君なら男でもいいし」
「は?いや、結構です」
何か変なのに捕まったなー。
俺はくるりと向きを変えて、車に戻ろうとした。
「ね?優しくしてあげるからさ」
男はそう言って、俺の肩を抱いた。
ゾワゾワゾワ〜と、鳥肌が立つ。
マジ、キモ!マジ、無理!
「ちょっと、離せ!」
俺がそいつの腕を振り払おうとした時
「俺の連れに何か?」
後ろから、ドスの効いた声がした。
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