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思わぬ出来事 …2
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振り返ると、すごい形相の小栗さんがいた。
俺のこと、連れ、だって!うふふ
何か良い響き…って、そんな場合じゃない。
男が怯んだ隙に、俺は男の手を払って小栗さんの所に駆け寄った。
小栗さんの横に並ぼうとしたら、小栗さんにぐいと肩を抱き寄せられて、密着する形になる。
「チッ、彼氏がいたのかよ。つか、お前『女』だったのな」
へへへと男がイヤらしく俺を見た。
「は?」
小栗さんが出してた殺人者オーラが、さらに威力を増した。
「いや、ケンカする気ねーから。邪魔したな」
そう言って、男は去って行った。
なんだったんだ…アイツ…
それより、何かいつも助けてもらってばかりで恥ずかしい。
「すみません…でした」
「いや、佐藤君が謝ることじゃないよ。…あれ、ナンパ?」
「はあ、多分…何か気持ち悪いヤツでした。助かりました」
「ん…」
それから二人で無言で車に向かった。
小栗さんは、俺の肩を抱いたまま。
何か…変な空気。
車に乗り込んでから、小栗さんが大きなため息を吐いた。
「どうして外に出たの?」
「ちょっと、外の空気が吸いたくなって…」
俺は、まだ手に持っていた口紅をギュっと握りしめた。
…聞きたいけど、聞けない。
これが何か聞いて…聞きたくない答えが返って来たら?
そう思うと、口紅の事は言い出せなかった。
「ごめん。攻めてるわけじゃないんだ。俺がもっと早く戻っていれば、佐藤君に嫌な思いさせなかったのに…」
「いえ!外に出てボーッとしてた俺が悪いんですから…ねっ?もう終わったことですし…夜光虫、見に行きましょう!」
「あぁ、そうだな…」
小栗さんは、また一つため息を吐いてから、車を発進させた。
俺は、小栗さんの目を盗んで、ドアポケットに口紅を落とした。
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