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客先での出来事 …1
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GW明けて2日後、俺は朝一で佐々木さんとS電機の本社に来ていた。
受付で待っていると、小栗さんが迎えに来てくれた。
久々に見る、ハリウッドオーラの小栗さん。
それから会議室みたいな所に案内されて、今後のスケジュールを確認してから、テスト機器がある所へ移動した。
当然だけど、小栗さんはハリウッドオーラを崩さない。
俺ばかり、彼を気にして見ているみたい。
いや、この場合、そういう特別な目で見る方が間違ってる。
仕事なんだから。
小栗さんの態度が正解なんだ。
「では、佐々木さん、佐藤くん。宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
俺は気合いを入れ直して、作業に専念することにした。
午前中の作業は順調に終わり、昼休みは、小栗さんに誘われて社員食堂に連れて行ってもらった。
そこで、小栗さんが新しく所属した課の、課長さんとかメンバーさん数人を紹介してくれた。
いつもの如く「佐藤君、若いねぇ」と言われる。
そんな時、小栗さんが「見た目は若いけど、しっかりしていますよ」とフォローしてくれた。
嬉しい。
「あのー、ここ、ご一緒しても良いですか?」
突然、後ろから声をかけられた。
振り向くと、ショートカットのスラリとした美人な女性がランチのトレイを持って立っている。
「お、河野。お疲れー」
課長さんが返事をして、空いてる隣の席にその人を座らせた。
河野?
聞いたことがある。
あ…もしかして、前に加藤さんが言っていた「かわの」だろうか…
小栗さんの事を色々聞いていたって言う…
「あっ。ごめんなさい。お客様が一緒でしたか?」
その女性が、俺たちを見て頭を下げた。
「T制御エンジニアリングの方だよ」
課長さんが紹介してくれた。
「あ、例の運用テストの…ですか?
お世話になります。私、少し関わってるんです。河野と申します。宜しくお願いします」
「T制御エンジニアリングの佐々木です。こっちは佐藤です。宜しくお願いします」
ニコリと返されたその笑顔は、自信に満ちあふれて、キラキラしていた。
河野さんが俺の横に座っている小栗さんを見た。
「そうだ。小栗くん、テスト機器のネットワーク試験、問題なかったから」
「あぁ。分かった」
あれ?この人『小栗くん』って言った。
そう言えば、あの日…小栗さんが電話で加藤さんに呼び出された時、電話の向こうの声の…
あれは、この人かもしれない、と思った。
そっか…あの日はやっぱり仕事だったんだな。
ただ、そう思っても、俺の中にかかったモヤは、なぜか晴れそうになかった。
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