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あいびき
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その週の半ば、新たに仕事が舞い込んだ。
今までの実績を認められて、俺はS電機をメインで作業する事になった。
お客様からも認められた証拠だろう。
今までは誰かのサポート業務が多かったので、こうやって担当ができるのは本当に嬉しい。
今回の依頼は、色々と細かい注文があるらしく、来週の月曜日にS電機まで打ち合わせに行くことになった。
小栗さんがメイン担当者だといいな…
そして、打ち合わせの日。
俺は佐々木さんと一緒に、S電機に来た。
受付に迎えに来てくれたのは、俺と同い年くらいの男性だった。
小栗さんはメイン担当じゃないのかな…
会議室に通されてしばらくすると、ドアがノックされて小栗さんが部屋に入って来た。
わ!やった!
と、喜んだのもつかの間…
小栗さん、課長さんの後に続いて入って来たのは、河野さんだった。
河野さんが見えた瞬間、胸がズキンと傷んだ。
え?河野さんも今回関わるの?
小栗さんとは違う課だったはず…
いや、前回の運用テストでは、ネットワークの整備を担当してたから、今回もそういう特殊な事があるのかも知れない。
「お待たせしてすみません」
小栗さんのハリウッドオーラがいつもより強い。
何か、ピリピリしてる感じ?
簡単に挨拶を交わした後、今回の依頼内容と、スケジュールなど1時間ほど説明を受けた。
スケジュールは約1ヶ月。
6月末にこの本社で納品作業を行うことになった。
「では、このスケジュールで進めます。これプリントアウトしてお渡ししますね」
小栗さんがパソコンを操作した後「別の場所にプリンタがあるので取って来ます」と、立ち上がった。
「私が取ってくるよ」
河野さんが立ち上がろうとするのを小栗さんが制止した。
「いや、いい…。あ、佐藤君。今後のために、プリンタの場所を教えておくので着いて来てください」
「あ、はい」
二人で会議室を出る。
いくつかの会議室を通り過ぎた一角にプリンタが数台置いてある場所があった。
「ネットワーク経由で、ここに出力されるから」
一台のプリンタの前で、その操作方法を聞いて、プリントアウトする。
プリンタが出力を始めた時、小栗さんがため息を付いた。
「あの…何か嫌なことあったんですか?」
「…どうして?」
「いえ、何かピリピリしてる感じがしたので…」
「フッ…ちょっと仕事でお荷物抱えることになってね」
そう言って、フワリと笑った。
お荷物?大変な仕事なのかな?
プリンタが出力を終えたのを確認して、印刷された用紙を取り出した。
「佐藤君」
小栗さんに呼びかけられてプリンタから顔を上げると、すぐそばにいた小栗さんが両手で俺を囲うようにしてプリンタに手をついた。
壁ドンのプリンタ版…みたいな。
え?と思った瞬間、顔が近付いて来てチュッと唇にキスされた。
「〜!!」
びっくりして何も言えないでいると
「佐藤君チャージ」
と、ニヤリと流し目をよこされた。
ドキリと心臓が跳ねた。
も…こう言うの、本当ズルい。
ますます小栗さんに溺れるよ。
「ほら、行くぞ」
頭をポンと撫でられて、皆が待つ会議室に戻る。
俺…顔、赤くなってないかな?
部屋に入った途端、小栗さんは元通りの無機質な顔に戻って、打ち合わせを再開した。
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