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マスターと秘密 …1
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次の土曜日、オカ達に誕生日パーティーを開いてもらった。
皆で飲んで、騒いで…たくさん笑った。
疲れていても悩みがあっても、友達に囲まれていたら楽しくなれる。
二次会はいつものバーで、マスターがスペシャルカクテルを作ってくれた。
途中、トイレに行って席に戻る時に、カウンターの端が数席空いているのが見えた。
せっかく来たんだし、マスターとも喋りたいなぁ。
俺は皆のいるテーブル席には戻らずに、何となくカウンターの端の席に座った。
「お、佐藤君どうした?水でも飲む?」
どうやら、マスターから見ると俺は酔っ払いらしい。
そう言われてみれば、頭がフラフラする。
「ありがとうございます…」
マスターから水を受け取って身体に流し込んだ。
「はぁー!」
冷たい水が心地よい。
マスターが優しく微笑んでるのを見たら、ふと、マスターに愚痴を聞いてもらいたくなった。
「マスター…ちょっと聞いてくれますか?」
「おー、どうしたー?」
マスターなら、河野さんの文句を言っても、良い意味で聞き流してくれると思った。
「……ライバルが現れました」
「ライバル?」
マスターが一瞬考えてから「あぁ」と言った。
「例の人とは、相変わらずな関係なの?」
「そうなんです。…俺、自信がないから告白も出来なくて…。
そんな感じでウジウジしてたら、ある日、その人と同じ会社の人から言われたんですよ。『私、彼の事が好きなの。応援してくれる?』って。…俺、何も言えなかったんです。でも、協力なんてしたくないんです…。
俺、どうしたらいいですかねぇ?」
「…え?」
マスターが固まった。
あれ?俺何か変なこと言った?
酔っ払い過ぎてて、日本語おかしかった?
マスターがしばらく考えた後、俺の方に身を乗り出して来て、小声でつぶやいた。
「佐藤君の想い人って……男?」
「……!!」
しまった!!
あれ?俺、今何言った?
いやいやいや、考えたところでもう遅い!バレたし!!
拒否するにも、もう誤魔化せる気がしない…
俺は頭を抱えて、カウンターに突っ伏した。
マスターが小声のまま、俺に話しかける。
「大丈夫。人には絶対に言わないし、…俺、そう言うの色々見てるし…大丈夫だから」
うっ!そんな慰めるような言われても…
穴があったら入りたいよ。
でもとりあえず、皆には秘密にしてもらわないと!
俺は顔を上げて、マスターを見た。
「あの、あの!…誰にも言わないでくださいね⁈本当に本当に…お願いします!」
「もちろん。言われなくても誰にも言わないよ。…心配なら、代わりに俺の秘密を教えるから、それであいこにしようか?お互い黙ってる約束ね?」
「マスターの秘密?」
「ん。嫁さんとかには絶対言えねぇ俺の過去」
マスターがカウンターに乗り出して、俺のそばでそっとつぶやいた。
「俺、男と寝たコトあるよ。…何度かね」
「!?!?」
マスターが「秘密ね?」と、人差し指を口の前に持って来た。
俺は、コクコク盛大に頷いてみせた。
マスターが?男と⁈
マスター…どっちだろ……っって!そうじゃなくて!
確かに奥さんにバレたら、大変そうな秘密。
本当かな?俺のための嘘かな?
…でもまぁ、どっちでもいいや。
どっちにしろ、俺のために言ってくれたこと。
マスターの優しさに、心がふんわりとした。
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