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お見舞い …1
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月曜日。
結局、朝起きても熱が下がっていなかった。
うー。学生の頃なら、すぐ回復したのに…
37度5分と、昨日よりは下がっていたけれど、気持ちが弱っていたせいか会社に行きたくなくて「風邪を引いたので休みます」と連絡を入れた。
鼻声だったせいか、あっさりと了承してもらえた。
S電気の納期が迫ってるけど、ここでしっかり治して、明日からバリバリ残業しよう。
うん。
寝過ぎなのか熱なのか、頭がボーッとするなぁ。
うつらうつらと午前中を過ごしていたら、昼になってインターホンが鳴った。
誰かなぁ?
でも…出たくない…
無視をしようとした時、スマホに着信があった。
誰〜?
…あ、小栗さんだ!
「はいっ」
『あ、佐藤君?今、家にいる?』
あれ?声が二重に聞こえる気が…
「家ですけど…どうかしましたか?」
『今、佐藤君ちの前にいる。ドア開けて?』
「えっ⁈」
だるい身体を起こして、玄関ドアに飛びついて開けた。
「やっ」
スーツ姿の小栗さんが、スマホを掲げて俺に微笑んでいる。
「どう…して?」
「ん?今朝、佐々木さんと電話した時、佐藤君が風邪で休みって言うから…気になって来てみたよ」
う、わぁ…嬉しい!嬉しい!
心配してくれてうちに来てくれたのが本当に嬉しい。
ちょっと泣きそうになるじゃないか。
久々のハリウッドオーラ無しの小栗さん。
こんな風に会いに来てくれるなんて…俺たち、やっぱり身体だけの関係じゃない…よね?
小栗さんもそれなりに俺のこと大切に思ってくれてるよね?
なーんちゃって、都合良く考えてみたりして。
あぁ。俺、弱ってんのかな?
「あ、あの、仕事は?」
「あぁ、今日の午後は移動だけなんだ。また九州に出張でね。飛行機が15時だから、13時半までにはここを出るけど、それまでフリーだよ?」
そう言ってニコリと微笑んだ。
普段は見れない優しい笑顔…
「ね?上げてくれる?」
「あっ!すみません…ゴホッ…どうぞっ!」
小栗さんが「お邪魔します」と言ってスーツケースを玄関に置いて、部屋に入ってきた。
あ、上げてから気付いた。
「ごめんなさい!風邪…移ったら大変…」
「俺?鍛えてるから大丈夫。それより、これどうぞ?」
小栗さんが差し出してくれた大きめのコンビニの袋には、ポカリとかレトルト食品とかゼリーとか、色々と入っていた。
すごい!
豪快さが小栗さんらしくて、笑みがこぼれる。
「わあ!ありがとうございます!」
俺が頭を下げると、小栗さんが嬉しそうに笑った。
「食欲はある?コンビニでお粥作って来たんだけど…」
もう一つ持っていた袋からインスタントのカップを取り出して、テーブルに置いた。
それはお湯を入れたら食べられるお粥。
…美味しそう…
そう言えば、朝から何も食べてなかった。
見た途端にグウっとお腹が鳴った。
は恥ずかしい!
「うぅっ…いただきます…ありがとうございます」
「ははっ。レトルトで悪いけど。…ゆっくり食べて?」
向かい合って座った後、小栗さんがスプーンの袋を開けて渡してくれた。
ペットボトルの蓋も開けてくれる。
甲斐甲斐しくて、くすぐったい。
小栗さんがテーブルに食べ物を並べてから、片手でシュルリとネクタイを外した。
うわ…何かイヤラシイ。
何かの雑誌で「女子がトキメク、男子の仕草」みたいな特集やってたんだけど、その中に「ネクタイを外す」って言うのがあったのを思い出した。
あの時は、へぇー程度だったけど、…なるほど今なら女子の気持ちが分かります。
ゴホン…
それから、俺はモソモソとお粥を、小栗さんはコンビニおにぎりを食べた。
おにぎりとかイメージないけど…
俺に合わせて、お米だけにしてくれたのかな?
なーんて、都合の良すぎる解釈かな?はは
食べながら、チラチラと小栗さんを見るたび、目が合って微笑まれた。
も…ナンダコレ。
小栗さんが甘い…
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