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不穏 …1
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小栗さんが河野さんと出張に行ってから3日が経った夜遅く。
家でテレビを見ている時、俺のスマホに河野さんから着信があった。
えっ⁈何⁈
そう言えば、連絡先交換したんだった!
ずっと音沙汰なかったから、忘れてた…
出ようかどうしようかと悩んでいたら、スマホの震えが止まった。
河野さんが俺に話があるって言ったら…小栗さんの事だよね?
聞きたくない。
けど、小栗さんの事は気になる…
それから5分後、再び着信があった。
無視するわけにはいかない。
こちらから掛け直すのも嫌なので、意を決して、通話ボタンを押す。
「…ハイ。佐藤です」
『あ、佐藤さん?河野です。お疲れ様〜。今、良いですか?』
河野さんのハキハキとした声が聞こえてきた。
「ハイ。大丈夫です。…どうか、しましたか?」
『ちょっと、聞いて欲しいことがあって…。聞いてくれますか?
小栗くんがね、キスマーク付けてたの!あぁもう…私、ショックで…』
「えっ?」
な、んで?
キスマークは、服を着たら見えない位置に付けた。
それをどうして河野さんが見たの?
変なドキドキがして来て、唇を噛み締めた。
『小栗くん、彼女がいてもそういう女を匂わせるようなことは、大学の時からしない人だったのに!はぁ…なんでかなぁ…』
河野さんの話が上手く頭に入らない。
『小栗くんって、彼女出来たのかな?何か知ってますか?』
「…えっ?あ…いや、そういう話は…聞いたこと無いですね…」
『そっかー…』
河野さんが大きくため息を吐いた。
ため息吐きたいのはこっちだよ。
なんだよ。それ。
何でそういう事、俺にいちいち電話するんだよ。
不安のドキドキを怒りで誤魔化そうとした時、河野さんのワントーン下がった声が聞こえてきた。
『…ねえ?…キスマークの相手って、佐藤くんじゃないですよね?』
!!
「……は?…いやいや、何言ってるんですか?変な冗談やめてくださいよ」
動揺しそうになったのを必死で堪えて、否定の言葉を口にした。
何?
これを確認するために俺に電話したの?
アキちゃんに、河野さんは俺の気持ちに気付いてるだろうって言われたし。
怖い。動揺が気付かれそうで怖い。
『ははっ、そうだよね〜。変な事言ってごめんねっ?いや、女に困らない小栗くんの相手が男とか絶対ないよねっ?』
気付いてない?大丈夫?
もう、さっきから河野さんの言葉で頭がパンクしそう。
何を考えて良いのかすら分からない。
「あはは…そうですね。小栗さんって女に困らなそうですもんね」
『そうなのよ〜。って私が知ってるのは過去の話だけどね。大学の時は、いつも隣に違う女がいたなぁ。社会人になってからは、浮いた話は聞かないけど…』
過去の…俺の知らない小栗さんが、河野さんの中にいる。
胸が、気持ち悪い。
『はぁ。あのキスマーク、誰が付けたのかなぁ。遊び相手とかだと良いなぁ』
遊び相手…
それは、俺のこと?
気付いてる?気付いてない?
ドキン、ドキン…
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