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不穏 …2
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「あ、あの…キスマークって本当にキスマークなんですか?
いや、その、小栗さんが人に見える場所にキスマーク付けるようなタイプに見えないというか…なんと言うか…」
もう何を誤魔化して、何を聞いていいの分からない。
いや、聞きたくない。
だけど、河野さんがどうしてキスマークの事を知ったのか、知りたかった。
『胸の辺りにあっから、服着てたら見えない位置だったけど…あれはキスマークだったわ!…うん。…はぁ』
河野さんは何か思い出したように、またため息を吐いた。
「そ、そんな位置のキスマークを見るなんて、実は河野さんと小栗さん、もう良い感じなんじゃないですかっ?」
声が震えそうになって、早口になる。
『あ、違うんです。今、小栗くんと出張で同じホテルに泊まってるんだけど、このホテル、温泉の大浴場が付いててね。たまたま大浴場の前の廊下で浴衣の小栗くんと会って。その時に見えたの。浴衣の隙間から』
なるほど!
キスマークの場所は、浴衣だと、少しはだけたら見える位置かもしれない。
河野さんの話が本当かは分からないけど…身体の関係があって見たのなら、河野さんならそう言いそうだし…。
良かった。
小栗さんと…その…セックスしたのかと思っちゃった。
『何〜?私と小栗くんが寝たとか思いました?ふふ。だと良いんですけどね〜。
そうだ。仕事がひと段落したら誘ってみようかなぁ。また相手してくれるかな?』
え?
「…また?」
頭が真っ白になった。
続きを聞きたくないと思うのに、逆に電話以外の音が聞こえなくなってしまった。
『ふふっ。…実は、学生の時に一度ね。
…あっ!この話を私から聞いた事は小栗くんには秘密ね?』
頭を何かで殴られたような衝撃を受けた。
一度…
寝た?
小栗さんと…河野さんが?
落ち着け、俺。
目をつぶって自分に言い聞かせる。
そうだとしても、学生の時…約10年も前の話だ。
今じゃない。
『今はまだ忙しくてそんな雰囲気にならないけど…。このジョブが終わったら告白しようかな。どう思う?キスマークとか見せられたら、もう落ち着かなくて…』
そんなの、俺に聞かないで…
「…どう、でしょうねぇ?そのキスマークの相手が、か…彼女とかだったら、難しいんじゃないでしょうか?」
『彼女、ねぇ…』
河野さんが、またため息を吐いた。
もう、何?俺、どうしたらいいの?
俺もばれないように、静かに息を吐き出した。
「でも…告白は、いいと思いますよ」
『本当〜?あ、もし出来たら、小栗くんに彼女が出来たのかどうか、聞いてみてもらえませんか?』
「えっ?いや、そう言う話はしたことないので…聞けるかどうか…」
て言うか、自分で聞いてよ…
あ、いや。これも俺への牽制?
『うん。出来たら、でいいの。こんなこと頼めるの、佐藤さんしかいないから』
「…分かりました」
分かりたくないし、その頼みを聞く気はないけど、そう答えるしかない自分に腹が立った。
『ありがとう!…なんか、聞いてもらって少しスッキリしました。夜遅くに失礼しました。では、また何かあったら聞いてくださいね?』
「はい…では」
二度とかけてくるな…
俺は、電話が切れてからも、しばらくその場から動けなかった。
小栗さん、河野さんとやったことあるんだ…
いや、本当かどうかは分からないけど…
とりあえず、モヤモヤする。
確かに、かなりモテる人だろうから、俺の前にたくさん彼女はいただろうし、学生のうちは遊んだのかもしれないけど…
そう言う相手が、今こうして俺のライバルになるなんて…
自分から勧めちゃったけど、河野さんが告白して…小栗さんがOKしたらどうしよう。
彼女は彼女、俺は俺…
と、 何度も言い聞かせたけど、結局、告白の事を考えたらマイナス思考の堂々巡りに陥った。
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