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嵐の前 …1
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河野さんから電話をもらった次の週明け…
6月の第4週の月曜日に、S電機でのプログラム納品作業が始まった。
細部まで佐々木さんにチェックを入れられたけど、今回のプログラムは、俺がほぼ一人で作った。
今回の作業期間は1週間。
もし金曜日までに終わらなければ、土日も出社することになった。
本社の機器では初のテスト業務の始動と言うことで、今回も責任者の佐々木さんと一緒に作業を行う事になった。
社会人4年目…早く仕事を吸収して、独り立ちしたい。
初日は、小栗さんが付きっ切りで確認作業をしてくれた。
ただ、いつも以上にハリウッドオーラが厳しい。
話しかけ辛いほどに、近寄るなオーラが出てる。
何かあったのかな?
河野さんとの事が気になって仕方なかったけど、気にしたところで何も変わらないと言い聞かせて、何とかやり過ごした。
それとも、今回の仕事はピリピリするような特殊な製品なのかな?
俺たちみたいな下請けは、何の製品を作っているか知らされることはない。
製品も、コードネームみたいなもので呼ばれている。
販売される前の、企業秘密の製品情報を扱っているからだ。
そんな中で、小栗さんが仕事でどう大変かなんて、知る由もない。
分かっていても、少し、寂しい。
途中、河野さんが様子を見に来た。
河野さんは俺を見てニコリと目配せして来た。
俺も笑顔を返したつもりだったけど…多分笑えてない。
河野さんは仕事の話を少しした後「じゃ、宜しくお願いします」と言って、俺の肩をポンと叩いて行った。
その場には小栗さんもいたんだけど、小栗さんの前で仲良しみたいにされるの、何か嫌だ。
あーー…
ダメ!仕事中に、そういう感情は持ち込まない!
仕事に集中!
初日のプログラムの組み込みはとりあえず問題なく終わって、次の日からはデータ取得と、その確認作業に入ることになった。
火曜日からは、小栗さんとはほとんど顔を合わせることはなかった。
まあ、データ確認作業は、量は多いものの単純作業なので、小栗さん達メーカーの人は、いなくても進められる。
取得したデータがメーカーが期待する値とどうしても合わない場合に、メーカーに相談してプログラムを変更したりする。
そんな作業を100項目以上、数パターンあるテスト全て行う。
そんなこんなで、残り数テストと言う状況で、納品予定日の金曜日を迎えた。
今日は、午後一で河野さんが参加して、遠隔操作で九州工場の機械を動かすテストがある。
昼休みには、今回初めて小栗さんと食堂に行けることになった。
3人で社食に向かう。
俺は小栗さんと佐々木さんが並んで歩く後ろをついて行った。
隣も良いけど、後ろからだと、好きなだけ小栗さんの事を眺められるでしょ?
へへ…
俺も、アキちゃんや河野さんみたいに、好きな人の変化に気付ける人になりたい。
小栗さんからピリピリが消えない原因って、なんだろう。
なんて考えてると食堂に着いた。
小栗さんを見て嬉しそうにしている女子社員をチラホラ見かける。
小栗さんってやっぱりモテるなぁ…。
そして、「お疲れ様です」なんて声をかけてくる女子社員に、いちいちヤキモチを妬く俺。
同じ部署なのかな?毎日顔合わせるのかな?とか考えると、ヤキモチ妬くよね?…ね?
それに、ここは会社だから皆分別あるだろうけど、ここが大学だったら?
毎日、女子に囲まれたり??
気軽に話し掛けられたり??
うう〜…河野さんの言ってた、いつも違う女を連れてたって言うのは、簡単に想像できる。
ボーッとしていたら、昼休みに食堂に押し寄せた人で、トレーを取るのに並ぶ列から小栗さん達とはぐれそうになった。
「ほら」
それに気付いた小栗さんが、俺の腕を引いて、俺を隣に引き寄せてくれた。
「今の時間、混むから気をつけて」
そう言って腕を離してくれたけど…
ちょっと引き寄せ過ぎじゃないですかね?
肩が触れそうなくらい近いよ。
あぁ、もう。
このくらいで意識してドキドキするなんて。
俺、重症。
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