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作業終了
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作業、最終日。
土曜日だけど、S電機の課長さん、小栗さん、河野さんが出社してくれていて、テストの最終確認を行った。
俺は今の仕事が好きだし、誇りを持ってやっているので、仕事中は変な事を考えずに済んだ。
小栗さんと河野さんが二人で並んで何か話している時は、なるべく見ないようにして…。
お昼はお弁当をケータリングしてもらって皆で会議室で食べたんだけど…
食べてる途中に、河野さんがなぜか俺にたくさん話題を振ってきた。
なんだろ?
仲良くなろうとしてるのかな?
一緒に水族館に行く事になったし、もっと仲良くなって俺を協力させる気とか?
無視することも出来ないので、雰囲気を壊さないように返事する。
小栗さんは相変わらずピリピリしたのを出していて、ほとんど口を開かなかった。
夕方には作業が終了して、資料やデータ全てに合格をもらい、無事に納品完了となった。
「お疲れ様でした」
会議室のテーブルの上の資料をトントンと小栗さんがまとめて、俺に微笑みかけてくれた。
仕事中のスマイルで。
「いえ、一日納期を延ばしてすみませんでした」
頭を下げる振りをして、小栗さんから目をそらした。
なんか、気まずい。
皆で会議室を後にする時、課長さんがいつものように「打ち上げ、どうですか?」と、声をかけてくれた。
小栗さんと河野さんが並んで、こちらを見ている。
佐々木さんは「ありがとうございます」と答えた。
分かってる。これは接待のようなもんだ。
仕事の一環。
でも、どうしても仕事を離れて小栗さんの顔を見るのが辛かった。
辛いと言うよりは、水族館の事をこれから河野さんが話すと思ったら、素直に小栗さんに笑いかけられる気がしなかったから。
「あの、申し訳ないんですが…昨日、夜遅くまでデータ整理していて、飲みに行ったら途中で寝てしまいそうなので。私はここで失礼させていただきたいのですが…」
「そうか。確かに今回はデータ量が多くて大変そうだったもんな。分かった。じゃ、今日は帰ってゆっくり休んで。また次回、宜しくね」
課長さんが笑ってそう言ってくれたので、ホッとした。
昨夜はそんなに作業を持ち帰って無いことを知っている佐々木さんは、少し不思議そうな顔をしたけど
「確かに、今日はなんか元気ないな。まっすぐ帰って休めよ?」
と言ってくれた。
ちなみに、小栗さんと河野さんの方は、なんとなく見れなかったので、二人がどんな反応をしていたかは分からない。
会議室を出て、玄関ホールで小栗さん達と挨拶して別れる時に、一度だけ小栗さんを見た。
小栗さんは何か言いたそうな顔をしていたけど、俺はすぐ目をそらしてしまった。
水族館のことで、気まずさでいっぱいだったから。
うう…
小栗さん、河野さんから水族館の事聞いたら、何て思うかな?
何も思わずOKするのかな?
河野さんは「お疲れ様でした。身体、大事にしてね?」とニッコリと笑みをくれた。
この人、何を考えてるのか本当に読めないな…
それから皆に頭を下げて、梅雨空の下を足早に家に帰った。
もう何も考えたくなくて、冷蔵庫のビールをあおって無理やりベッドに入って目をつぶる。
昨夜寝てないせいか、程なくして俺は眠りについた。
その日の夜遅くに小栗さんから着信があったけど、深く眠っていた俺はそれに気づかなかった。
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