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また頼ります
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休み明けの月曜日。
朝早くに、小栗さんからLINEが入った。
"体調は大丈夫?俺は今から九州です。時間が出来たら電話するよ"
なんて返事しよう、と考えていると、今度は河野さんからLINEが。
"おはようございます!今から小栗くんと出張です。あと二日でこのジョブも完了だよ。では、いってきます!"
なんか…LINEのタイミングが同じってだけでヤキモチ妬く俺って何なんだ。
こんなに気まずくなるなら、俺から水族館のこと伝える事にすれば良かったな。
とりあえず、二人には"行ってらっしゃい"とだけ返事した。
会社に着いて、午前中はいつものように出張の後処理で、総務に行く。
「あ、佐藤さん。お疲れ様でーす」
アキちゃんがいつもと変わらない笑顔で対応してくれる。
俺が提出した旅費精算の書類に目を通した後、顔を上げて、俺の顔をじっと見た。
「その顔は…何かありましたね?」
「え?…はは…分かる?」
その時の俺は、すごく情けない笑顔をしていたと思う。
こうやって気付いてくれるアキちゃんの存在が、とても愛おしく思えた。
俺、なんでアキちゃんの事、好きにならなかったのかな?
そうしたら、全部丸く収まるのに…
なーんて。
アキちゃんにこんな事言ったら怒られそうだな。
逃げるなって、言われるに違いない。
足元に目線を落としてアキちゃんの顔が見れなくなった俺に、アキちゃんは「これ、どーぞ」と小さい付箋が着いたアメ玉をくれた。
[今日、駅前の居酒屋に集合!]
と、付箋に書いてある。
「月末処理で残業が少しあるので…夕方までに時間を連絡します」
そう小声で言った。
アキちゃんの優しさに甘えていいかな?
ていうか、俺、ダサ…
最初から甘えるつもりで「分かる?」なんて言ったんだから。
アキちゃんの顔を見ると、真面目な顔をして、ウンウンと頷かれた。
アメ玉をポケットにしまってから、俺はアキちゃんにコクリと頷き返した。
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