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相談、再び …2
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アキちゃんと話してたら、俺の心に余裕が出て来たのか、河野さんとやり合えるような気分になって来た。
自分の気持ちを抑えて、我慢してるのが馬鹿らしくなったって言うか…
そうだ。
今度…水族館で、何処かで二人の時間を作って伝えよう。
協力出来ない、って。
電話とかメールだと、河野さんが何考えてるか分からないから怖いし。
ちゃんと顔を見て伝えよう。
俺も男だ。
ウジウジ負けてらんないでしょ?
「ありがと。俺、河野さんに話してみる気になった」
俺がそう言って笑うと、アキちゃんも少し顔を明るくさせて微笑んでくれた。
「応援しています!ていうか、水族館も断っていいと思うんですけどねぇ。じゃないと、河野の伝言で小栗さんに変な誤解をされそうだし…ていうか、河野が小栗さんに変なこと言ってそうで怖いんですけど…」
アキちゃんが「うーん」と言いながら腕を組んだ。
「断りたいのは山々なんだけどね…でも河野さんもすごく楽しみにしているみたいだし、今さらどうやって断っていいか…。もうすでに、小栗さんに伝えてるかも知れないし…」
アキちゃんが俺を見てため息を吐いた。
「佐藤さんて、優し過ぎますよ。相手はただの女じゃないんですよ?ライバルです!ライバルに気を使っても良いことないですよ?…ま、その優しさが佐藤さんの良いとこですけど…」
アキちゃんがまたため息を吐いた。
「水族館、せっかくチケットくれたのに本当にごめんね?でも…その日、俺なりにけじめ付けようと思えたから。
そういう機会をくれて、アキちゃんには本当、感謝してる」
俺が頭を下げると、アキちゃんが眉を下げて笑った。
「負けないでくださいね?ていうか、負けるわけ無いのになぁ…。小栗さんが、もっと早くハッキリさせてれば…いや、佐藤さんもそうですけど…」
"負けないで"って言う言葉に、ドキリとした。
アキちゃんが、今度は小栗さんの事でブツブツ言い出した。
「そうだ!あの、水族館で小栗さんと会ったら、真っ先に小栗さんに伝言をお願いしたいんですけど」
伝言?
「うん?いいけど…何て?」
「前に私が伝えたメッセージ、今日ちゃんと実行しないと、絶対後悔しますよ。
そう、伝えてください」
「前に伝えたメッセージ?」
もしかして…前に加藤さんと4人で飲んだ時の、別れ際に何か言ってたやつかな?
「はい。前に会った時に、小栗さんに伝えたことなんですけどね」
「う、うん。分かった。…ちなみにメッセージってどんな?」
「それは、ひ・み・つ、です」
アキちゃんがニヤリと笑って焼き鳥をパクリと頬張った。
「河野がすることはもう放っておいて、後は佐藤さんが頑張るだけですよ!告白とか。告白とか。告は…
「~!!分かった!分かったから!」
「本当ですかー?期待してますよ~?と、佐藤さんがやる気になったところで、カンパイしましょ!」
そう言えば、カンパイしてなかったな。
と、お互い顔を見合わせて笑ってから、ジョッキを合わせた。
それにしても、マスターと同じことを言われるとは思わなかった。
旗から見たら、俺、どんどけ弱っちいんだろうな。
はは。
二人に言われた「負けないで」って言葉が、俺の心の中で何度も何度も響いていた。
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