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水族館 …2
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ショーが終わってから、お土産屋さんに入った。
河野さんが「何か記念に買おうかなぁ!」と、楽しそうに店の奥に行く。
俺も何と無くプラプラと店内を眺めて歩いていたら、大きな白いイルカのぬいぐるみが目に入った。
近付いて撫でてみると、すごく肌触りがいい。
あ…抱き枕かぁ。
この肌触り、気持ち良いなぁ。
…抱きつきたいっ。
でも。店内でそんなこと恥ずかしくて出来ないし…
そんなことを考えながら白イルカを手にとってナデナデしていたら、いつの間にか俺の後ろに小栗さんが立っていた。
「欲しいなら、買ってあげようか?」
「へっ⁈」
振り返ると、優しい笑顔で俺のことを見下ろしている。
はっ恥ずかしい!
ぬいぐるみ好きとか思われたかな?
「い、いえ!その、手触りが気持ち良いな〜って思ってただけで。あ、小栗さんも、触ってみてください」
そう言って、ぐいっと小栗さんに押し付けた。
小栗さんがイルカの頭に手を乗せて、ゆっくり撫でる。
「本当だ。撫でていたくなるの分かるよ」
「でしょー?」
ふふ。小栗さんがイルカのぬいぐるみ撫でてる!
貴重な光景だ。
あぁ、小栗さんが撫でたイルカ…やっぱり欲しいかも…
俺がよほど物欲しそうにそれを眺めていたからか、小栗さんがイルカを俺の手から奪った。
「買ってやるよ。先月、誕生日だったろ?」
そう言ってイルカを片手で抱えて、ニッと笑ってくれた。
「え?どうして誕生日を?」
あれ?俺、誕生日教えたことある?
「前に電話で言ってたろ?」
「……あ!」
そ、そう言えば…酔っ払って電話に出た時…言ったかも。
あの時…酔って、電話中に俺……あぁ!今さらあの時の電話が恥ずかしくなって来た!
思い出して顔が熱くなる。
「あのっ、ありがとうございます!」
小栗さんはそんな俺を見て、ニヤリとした。
何なの⁈そのニヤリは⁈
俺がわたわたしていると、今度は後ろから河野さんの声がした。
「なーにやってんの?」
わ!!
ビックリした!!
「え?小栗くん、それ買うの?」
河野さんがイルカを指差して楽しそうに笑った。
「ん?あぁ」
「いえっ!あの、小栗さん、それ買わなくていいですから!」
「でも欲しそうな顔してたよ?」
「うっ…」
俺たちのやり取りを見て、河野さんがため息を着いた。
「いいなー?何それー?」
「佐藤君、先月誕生日って聞いてたから」
「そっかぁ!…私、来月誕生日…」
「フッ。分かったよ。河野も何か選べ」
「わっ!やったー!ありがとう!」
…やっぱり、この二人の雰囲気、俺には入れないところがあるなぁ。
羨ましい…
河野さんは嬉しそうに店内を見回して、白イルカのペアマグカップを持って来た。
「じゃ、これ!」
「ん…いいよ。こんなのでいいのか?」
「いいの!ありがと!」
河野さんは本当に嬉しそうに笑った。
俺には見せない、女の子って感じの可愛らしい笑顔。
好き…なんだなぁ。
小栗さんのこと。
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