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アキちゃんの伝言
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イルカミュージアムに入る前に、お土産屋さんが目に入った。
あ、アキちゃんにお土産買おうかな。
ん?…アキちゃん…
あ!!忘れてた!!
アキちゃんから小栗さんに伝言があったんだ!
会ったらすぐ伝えて、って言われてた気がする。
河野さんの事とか色々あって、忘れてた。
けど、もう水族館終わりそうだよ。
うわ〜どうしよう。
イルカミュージアムに入ると、すぐにアーチ型の水槽が見えた。
キラキラと光る水と魚達が、とてもキレイ。
「わぁ」
思わず3人で足を止めて上を見上げる。
「…あ、ごめん。私、お手洗い行ってくるね?二人で先、行ってて」
河野さんがそう言って、入り口付近にあったトイレの方へ消えて行った。
小栗さんと二人で、アーチの下に入る。
「わぁ!」
頭の上をイルカが泳いでいく。
「ここ、すごいですね!」
「そうだな…」
…あ、アキちゃんの伝言。
河野さんのいない、今のうちに伝えちゃおう。
「あの、小栗さん?」
「ん?」
小栗さんが俺の方を見た。
「アキちゃん…秋吉って覚えてます?以前、加藤さんがこちらにいらしてた時にバッタリ会って…」
「あぁ、覚えてるよ?」
「秋吉から、伝言があるんです。えーと確か『前に伝えたメッセージ、今日実行しないと後悔しますよ』との事でした」
「…メッセージ?」
小栗さんが足を止めて、少し考えるそぶりをした。
「あ、覚えてないですか?…俺もそのメッセージの内容は聞いてないんですけど…」
「いいや。覚えてるよ。…でも何で今?
…ねぇ、その伝言っていつ受け取った?最近?」
「この前の、月曜日です」
俺がそう言うと、小栗さんは眉間にシワを寄せて俺を見た。
「あのさ…正直に教えてもらいたいんだけど…」
「はい?」
小栗さんが言葉を選ぶようにして口を開く。
「佐藤君って、河野のこと、どう思ってる?」
「えっ?河野さん?」
突然、何?
小栗さんが俺に向き合った。
「好きなのか?」
ええっ⁈俺が⁈河野さんを⁈
「ない!それはないです!」
言った後で、全力で否定するのも河野さんに失礼かなと思ったけど、小栗さんに誤解されている方が嫌だった。
小栗さん、そんなこと考えてたの?
小栗さんが下を向いて、大きくため息を吐いた。
「クソ…河野にやられた…」
「え?」
「なんでもない。本当に?河野のこと、恋愛対象として見てる訳じゃないんだな?」
「は、はい」
「そうか…」
それから小栗さんは、何かを考えるように黙って、また水槽を見上げた。
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