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告白
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手を引かれて、駐車場に停めてあった小栗さんの車のところまで来た。
お互い無言のまま。
助手席に乗せられて、ドアを閉められる。
小栗さん、突然どうしたんだろう?
アキちゃんの伝言…何だったのかな?
て言うか、人前であんな…
うわぁ……
小栗さんが後部座席にイルカの抱き枕が入った袋を置いてから、運転席に乗り込んで、大きく息を吐いた。
「もう、曖昧な状態のままじゃ、いられないな」
そう言って、左手で俺の右手を取った。
「ハッキリ、させよう」
俺の目を見て、ゆっくりと俺の指に指を絡める。
そうして、優しく手を握られた。
ドキン、ドキンと心臓が跳ねる。
小栗さん…
小栗さんが俺をじっと見つめて、握った手に少し力を込めた。
俺は、それに応えるように、絡めた指をギュッと握り返す。
小栗さんの目線が熱い。
小栗さんが今度は小さく息を吐いて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
ウソ…小栗さんが緊張、してる?
ピクリと動いた唇が声を発した。
「佐藤君、俺と…付き合おう。
…俺の、恋人になってくれないか?」
言い終わって、小さく息を一つ吐いてから、俺をじっと見つめた。
…う…わぁ
ジワリと目頭が熱くなった。
これ、夢?
告白しようと思った日に、告白、されてる…
付き合おう?
恋人に…?
それって?それって?
小栗さんは、俺のことが…好きってこと?
えーと、好きって異性として?
いや違う、男同士じゃん。
えーと、えーと…
俺はミュージアムからの急な展開に、まだ心が追いついていなかった。
小栗さんの告白に、若干パニック状態。
「返事は?」
返事がどうか聞かれるなら…
「は…はい!宜しくお願いします!」
その答えしか頭に浮かばなかった。
小栗さんが、大きなため息を吐いてから、嬉しそうにふわぁっと笑顔になった。
その笑顔に、心臓がギュッと鷲掴みされたみたいになる。
俺と小栗さんが…
恋人?
夢を見てるみたいで実感がわかなくて、ただポーーッと小栗さんを見つめた。
小栗さんの右手が、俺の頬にそっと触れた。
繋がった手と、頬に添えられた手がとても暖かくて、優しい。
あぁ…キス…したい…
そう思って、顔を近付けようとした時、車の前を人が横切る気配がした。
「!!」
俺はハッと現実に返って、小栗さんから離れてシートに背をつける。
そして、家族連れが楽しそうに通り過ぎて行くのを、じっと見送った。
危ない。
キスするの、見られるところだった。
家族連れが見えなくなると、小栗さんが不満そうにため息を吐いた。
「見られても構わないのに」
「ふえっ⁈いやいやいや…まだ心の準備がっ…いや、そういう問題じゃなくてっ…」
「そうか。分かった」
小栗さんが繋いでいた手を離して、スマホを取り出した。
何か操作してから何処かに電話をかける。
「あ、今日空いてますか?…ハイ。…2人です。…あぁ、それで結構です…」
どこかに、予約の電話かな?
自分の名前と電話番号を伝えてから電話を切った。
「移動するぞ」
「あの…どこに?」
「二人になれる場所。…心の準備しとけよ?」
そう言って、色気たっぷりの流し目を俺に寄越した。
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