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レストランにて …2
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雅治さんが少しの間「うーん」と考えてから言った。
「そうだな…今なら言ってもいいかな?
あきちゃんのメッセージは『好きならちゃんと行動しないと。実るもんも実らなくなりますよ』だよ」
「えっ?……その…好きなら…って」
最初のメッセージ伝えたあの日、加藤さんと飲んだのは確か…4月に入ってすぐくらいだったよね?
その時から、雅治さんは俺のこと?
って言うかアキちゃん、雅治さんのことも気付いてたの?
あの日、一日で?
…恐るべし、アキちゃん…
「あ、あぁ。あの時ね。あの時はまだ自覚してなかったかもな。
ただ帰り道で、このまま何もしなかったらあきちゃんに持ってかれると思ったら…気付いたら行動起こしてたよ」
雅治さんが何かを思い出すように、外の景色を見て優しく笑った。
「それよりさ。俺にとって重要なのは、後半なんだけど?」
「後半?」
『好きなら』って言う言葉の印象が強すぎて、後半、覚えてない…
「そう。実るもんも実らない…って。つまり、俺が行動すれば実るって前提でしょ?」
「??」
「あきちゃんは俺に、陸の気持ちを教えてくれたんだよ。陸は、俺のことが気になっ…
「うわぁあ!」
思わず、雅治さんの言葉を遮った。
アキちゃん!何てことを!
4月の時点で、俺が雅治さんのこと好きなのをバラしてたのっ?
酷い〜。。
雅治さんは、慌てる俺を見てまた楽しそうに笑った。
「それにしても、今回は本当に助かった。あきちゃんのメッセージがなかったら、陸は河野のことが好きなんだと勘違いしたまま身を引くところだったよ」
「え?そ…んな…」
身を引く?どうして?
「今回のジョブが始まってから、陸は河野のこと気にするようになったし。…河野もそうだったし。数日前に河野に告られるまでは、両思いかと思ってたよ。それに河野が…いや、河野のことはもういいや」
「えっ?気になります」
雅治さんは、グラスのワインを一口飲んだ。
「気にすんな。今日は俺の事だけ考えてればいいよ」
「〜〜っ」
何てセリフ…
こんな自信たっぷりなセリフも、雅治さんが言うと全然違和感ない。
「それにしても…陸ってあきちゃんとそんなに仲がいいの?」
「へっ?あ、いや…その、何と言うか、たまたまです」
以前、告白されました…とか言ったらマズイよね?
俺も、雅治さんが誰かに告られたとか聞いたら、嫌な気分になる。
うん。波風は立てないに限るっ。
「ま…助けてくれてるし、敵じゃないのは分かったから…ま、いいか」
…ほっ。
追及されなくてよかった。
それからしばらく無表情だった雅治さんが、突然色気を含んだ目で俺を見た。
「そうだ。食事の後、部屋にワインを運んでもらおう」
「ワイン…ですか?もう頂いてますから、十分ですよ」
「陸はこれくらいじゃ酔わないだろ?陸は酔ったら陽気になるから、河野の事なんて気にしなくなるんじゃないかと思って。
ここでもう少し飲んでもいいけど…酔った陸は誰にも見せたくないからね」
うっ…
ワインのことを言われるたびに、あの電話の時のことが浮かんで…
居た堪れない。
「さ、そうと決まったら、さっさと食事を済ませて早く部屋に戻ろう」
雅治さんが、肉を一切れ口に入れて「美味い。食事だけでもまたここに来てもいいな」と、つぶやいた。
食事が終わってから、部屋に戻るエレベーターを待っていた。
「ご馳走様でした!すごく美味しかったです!」
雅治さんが「ん。美味かった」と微笑む。
エレベーターが、到着して乗り込む。
ドアが閉まりかけた時、レストランの方からエレベーターに近付くカップルが見えた。
あ…ホテルに来た時にも一緒になった人達だ…
部屋に戻るなら、エレベーター乗るよね?
そう思って、エレベーターの「開」ボタンを押そうとしたら、雅治さんにその手を止められた。
結局、そのカップルを乗せないまま、扉は閉まった。
「二度も邪魔させないよ」
雅治さんがそう言って、俺を壁に押し付けてキスをした。
「んっ…んぅ!」
途中で誰か乗って来たら困る!と思って抵抗したのも虚しく、目的階に着く「ポーン」と言う音が鳴るまで、雅治さんは唇を離してくれなかった。
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