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【番外編】 小栗雅治の独白 4
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行きつけの屋台に佐藤君を連れて入る。
何時ものように店内は混んでいたが、運良くカウンターに座れた。
さっきから気になるのは、佐藤君が緊張しているのか、なぜかソワソワしていること。
俺はこの見た目と雰囲気で、人から一線置かれる事がよくある。
特に女性は、こういう風に落ち着きをなくす。
そしてそれらの女性は往々にして、俺に何かを期待するような視線を向ける。
見た目で寄ってくる男もそうだ。
俺を利用しようとする。
でも佐藤君は違う。
俺が話しかけたり笑いかけたりすると、裏表のない感じで嬉しそうに反応してくれる。
ほんと…犬みたいだ。
一緒にいて和むし…癒される気さえする。
なんだろうこの感覚は…
もっと、仲良くなりたい。
もっと、彼の色んな表情を見たい。
そう思った。
あー、それにしてもなんでこの子こんなソワソワしてんだよ…
俺のこと怖いのか?
途中で、佐藤君からオーラ云々の話をされた。
この子になら話してもいい気がして、人を寄せ付けない態度をわざととっている話をした。
普段なら「モテるのに勿体無い」やら「損してる」やら、挙げ句の果ては「変わってる」なんて反応が返ってくるんだけど、佐藤君はすんなり俺を受け入れてくれた。
似たような悩みがあるからだろうか?
とりあえず、仲良くなりたい下心から
「佐藤君といる時、気を張ってないかも」
と言うようなことを伝えた。
「嬉しいです」
と、答えた佐藤君は、本当に可愛らしかった。
更に続けられた言葉に、俺は固まってしまう。
「僕といる時、気を張ってないって事は、僕は嫌われてないって言う事ですよね?隣にいるのを認められた気がして、なんか、嬉しいです」
ん?俺に嫌われていると思っていたのか?
俺の態度が冷たいから?
でも、隣にいるのを認められて…嬉しい、と?
何て可愛いことを言う子だろう。
純粋に佐々木さんに嫉妬した。
俺もこんな後輩が欲しい。
こんな風に素直に慕われるのは、悪い気はしない。
更に彼は続ける。
「すみません!俺、じゃない、僕、酔うと頭より先に口が動いちゃうんです。
変なこと言ってますよね。
隣にいるのを認めるとか、彼女とか、いや、友達でもないのに!すみません!」
か、のじょ…
「…そうか」
はは。
彼女ね。なるほど。
確かに俺のこの感情は、付き合いたいとか友達になりたいとか…そういうのの一歩に似てる。
知りたい
仲良くなりたい
そして…触れたい
俺は佐藤君を身近に置きたいんだ。
それに気付いた時、俺は急にあることを確認したくなった。
手をつないだ時の感覚。
あれがただの気のせいなら、俺のこの欲求は「佐藤君と友達になりたい」で済む。
…そうじゃなかったら?
いや、そんな訳ない。
サッサとモヤモヤを解消させよう。
「なんとかつなぎ。あれ、もう一回やって?
…やって、じゃないな。やっていい? てか、やらせて」
そうして、カウンターの下で佐藤君の手を取った。
例え、もしも、万が一…身体が反応してしまっても、佐藤君は手を払ってくれると思っていたから。
そうしたら俺は、この馬鹿らしいモヤモヤから解放される。
現実に戻れる。
俺は、するりと指を絡めた。
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