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【番外編】 小栗雅治の独白 11
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12月。
佐藤君とあんな事になって、約二ヶ月が立った。
俺は事あるごとに、佐藤君の事を思い出していた。
佐藤君とはあの後メールで仕事上の挨拶を一度交わした…と言っても関係者への一斉メールで済ませただけで、それからは全く接点はない。
所詮、仕事だけの繋がり。
あの日は、これで終わりにしようと思った。
忘れようと思った。
だけど、こんなにも思い出すんだ。
忘れられない。
求めて止まない。
クソ…
マジでタチ悪い病気だな…
久々に予定のない土曜のその日。
俺はそんな事を考えながら昼間からダラダラと飲んでいた。
テレビで映画を流しながらぼんやりしていると、携帯に着信があった。
発信者は『山田 貴弘』やまだ たかひろ。
中学からの一番の親友だ。
明るく活発な性格で俺とはタイプが違っていて、2年の途中まで喋ったこともなかった。
こいつと仲良くなったきっかけは、拳法の道場だ。
俺が拳法を習いに行った時、こいつがその道場に通っていて、そこから一気に仲良くなった。
今でも、オグ、ヤマ、とお互いを呼び合う。
こうしてたまに連絡を取り合って、地元に帰った時は必ず会う。
スマホに手を伸ばして、通話ボタンを押した。
「…ん」
『出るの遅ぇよ!何?今、忙しいの?』
「いや、家で飲んでた」
『マジかよ?昼間から?一人で?』
「うるせーな…。で?何?」
『おー。オグさ、今年も年末こっち帰ってくんの?』
そういえば、もうすぐ年末だ。
「あー…多分、いつも通り。30に帰って、1日か2日にこっち戻ってくる。…30は?ヤマ空いてる?」
俺たちは成人してから毎年、年末に会って飲み会を開いている。
実家にはついでに顔を出す程度。
『今年こそ合コンしようぜ!お前、最近付き合い悪いじゃん?』
「何度も言ったけど、前回の合コンで痛い目見たからな…」
3年前だったか…
こいつの知人と合コンして、そこで知り合った女と寝た。
その場限りのつもりが、どこからか俺の連絡先を得たようで、その女からしつこく付きまとわれた。
結果、その時付き合ってた彼女と後味悪く別れる羽目になったし…
あれから、女と遊ぶのは辞めた。
『あん時はマジごめん!あんな奴だとは思わなくて…今度は気をつけるし大丈夫!良い話があるぜ?元ミス◯◯学院!』
「へぇ。ヤマ、相変わらず顔が広いな。そういや、彼女はどうした?」
『別れた…色々あって。まぁ、良いじゃん?な?俺のために合コン付き合ってよ?お前も彼女いないんだろ?』
ふと、佐藤君の顔が過った。
「…あぁ、分かった。いいよ」
俺に今足りないのは、きっと女だ。
『マジで⁈サンキュー!じゃ、こっちで詳細は決めとくから』
今までなら多少なりとも気持ちが上がる合コン話なのに、なぜかパッとしない気分で、電話を切った。
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