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【番外編】 小栗雅治の独白 21
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それから1ヶ月…
ゴールデンウイークを過ぎた辺りから、佐藤君がたまに何かを考えるような素振りを見せるようになった。
6月、新たなジョブが始まってからは、さらに様子がおかしくなった。
佐藤君は、河野の事を意識しているようだ。
俺が河野の名前を出すと過剰に反応するし、仕事で河野と一緒になると、緊張した感じになる。
そして…河野もまた、佐藤君の事を気にしているようだった。
ちょくちょく佐藤君の事を聞かれたし、佐藤君の納品作業が始まる前には「私達、気が合うみたい」と河野から聞かされた。
俺の知らない間に、二人に何かあったのだろうか。
佐藤君は、河野の事をどう思っているのだろうか…
気になったけど、聞けず仕舞いだ。
佐藤君とのジョブの締めに、河野との出張があった。
そこで、河野と佐藤君が思った以上に仲がいい事を知った。
二人で電話したりしているようだし…
出張の帰り際、それを河野に聞くと
「佐藤君?最近仲良くしてるよ?佐藤君、水族館にも誘ってくれたし…。やっぱり私の事、意識してくれてるみたい。なんか恥ずかしいな」
というような事を言われた。
佐藤君は、河野を…
やっぱりそうなのか…
「その…二人って良い感じなのか?」
と聞いたら、少し濁されたあと…
「…ん。
でもね。私が好きなのは……小栗くんなの。
あのね、私…
ずっと、ずっと小栗くんのこと見てた。本社に戻って来た時は、本当に、嬉しかった。
誰よりも一番、小栗くんのこと好きだって自信ある。
これからは仕事のパートナーとしてでなく、ただの女として側にいたいの。
…駄目かな?」
河野に好意を持たれていたのは、以前から何となく分かっていた。
俺としてはすぐに断りたかったが、なぜか返事は水族館まで保留してほしいと頼まれ、その時は頑なに返事を拒まれた。
多分河野は、俺が断る事を分かっている。
振られた状態で水族館に行くのは嫌だという事なのかと、その時は思った。
そんな微妙な状態でも水族館に行くという事は…
佐藤君が気になるから?
俺が振れば…佐藤君と付き合うのか?
モヤモヤしているのに、佐藤君に確認できない自分が情けなかった…
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